フォーカスシステムズ(東京都品川区)は褥瘡評価ツール「DESIGN-R」の判定自動化に向けたAI技術について、鳥取大学と共同で特許出願した。 同社は2021年から同大医学部附属病院形成外科と共同で、スマートフォンなどで取得した褥瘡画像を解析し、DESIGN-Rを自動算出するAI技術の開発を進めてきた。 この技術は従来の目視による褥瘡評価の課題を解決し、評価の精度と効率を大幅に向上させる可能性があることから、新規性・進歩性があると判断し、特許出願をした。...
新着情報
常勤職員の基本給は1万円余増 給付費分科会🆕
第245回社会保障審議会介護給付費分科会が3月24日に開催され、令和6年度介護従事者処遇状況等調査の結果が報告された。 令和6(2024)年度介護従事者処遇状況等調査は特養、老健、訪問介護、通所介護など9種・1万3801施設・事業所を対象に、24年10月に行われた。...
車いすに固定し着脱容易な導尿バックカバー発売🆕
フットマーク(東京都墨田区)は「導尿バッグカバー」=写真=を発売した。導尿バッグの尿を入れておく部分を隠すことで周りの目を気にせず過ごせるアイテム。車いすに固定したまま簡単に付け外しができる。 汚れてしまっても繰り返し洗濯することが可能で、清潔に保つことができる。水着と同じ速乾性のある生地を使用しているため、洗濯しても乾きやすく、洗濯した翌日も使える。 車いすに導尿バッグを固定したまま生地の伸縮性を活かして下から被せて装着する。下部をまくるだけで中身の確認や溜まった尿の排出処理ができるため、取り外す必要がない。...
介護職員給与1万3960円増 処遇改善加算取得で
厚生労働省は3月18日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会で、2024年度の介護従事者処遇改善状況等調査結果を公表した。 それによると、処遇改善加算を取得している施設・事業所の職員(月給・常勤)の昨年9月時点の平均給与(賞与などを含む)は33万8200円で、前年同月に比べ1万3960円(4.3%)増加した。賞与などを除いた基本給は25万3810円で同1万1130円増だった。 調査は全国の1万3801施設・事業所を対象に実施し、8180施設・事業所から回答があった(有効回答率59.3%)。...
介護保険利用者の情報を一元化 来年4月から着手
厚生労働省社会保障審議会介護保険部会は3月17日に開催された会合で、介護分野の情報を一元化する取り組みを来年4月から開始する方針を了承した。 要介護度認定に必要な主治医意見書や要介護度、ケアプランなど、介護保険利用者の基本情報を1つにまとめ、介護事業者や医療機関、自治体などがインターネットで確認できるようにする。 これにより、自治体や事業所の事務負担を軽減し、サービスを提供するスピードを早めることが期待できる。マイナンバーカードの活用も視野に入れている。...
テーマ特集/対談・インタビュー

訪問主体も小多機・看多機拠点に地域と交流 自社になければ他施設活用する工夫を 板井佑介・ケアメイト代表取締役 下🆕
■看多機と小多機の区別は意味がない
――看多機でもいいのですか。
看多機と小多機を区別することには、あまり意味がないと思います。小多機は認知症の人、看多機は医療依存度の高い人、みたいなくくり方をすると、そういう人たちだけが集まって同質化してしまう。そうすると、化学反応が起きない。
状態の異なる人がいるから、化学反応が起こる。例えば元気な認知症の人が、寝たきりになっている人に一生懸命声をかけて励ましたりするわけです。
――駄菓子屋もありますね。そうした子どもたちも高齢者と交流するのですか。
フロアに上がってきたり、慣れた子はここを待ち合わせ場所にしたりしています。高齢者も本人が望めば接客したり、お金の計算をしたりしています。全然勘定が合いませんけれど。一緒に百人一首などをやっていることもあります。
介護とか看護とか保育とか、そこの縦割りを壊すというか、地域包括ケアとか地域共生社会とか言われるものの具体的なひとつの姿を目指していると言えます。
ただ、それにはスタッフのコーディネート・スキルがすごく大事で、さすがに何もしないでいきなり高齢者と子どもたちが交流することはありません。その点、自分からそういう状況を作ることが出来る職員がまだまだ少ないのが課題です。
■地域共生に対する感性を持つことが大事
――訪問だけで地域の多様な人たちと交流を図るのは難しいですか。
難しいというか、それだけでは面白くないということです。集まる場があることが大切ですし、地域共生に対する感性を、訪問であってもケアマネジャーであっても、持てるかどうかが大事だと思います。自分のところに拠点がなくても、世の中にいくらでもありますから。
例えば看多機で、先日、香川県の事業所と一緒にリモートでうどん作りをやりました。看多機のご利用者さまとご家族が参加しましたが、別にその人たちしか出入りしてはいけないとは言っていません。
弊社のケアマネジャーが担当している高齢者で、普段はここを使ってないけれど、外出支援の形で来るようなプランを立ててうどん作りに参加すれば…

訪問主体も小多機・看多機拠点に地域と交流 自社になければ他施設活用する工夫を 板井佑介・ケアメイト代表取締役 上🆕
訪問介護・居宅介護支援を中心に事業を行ってきたケアメイト(東京都品川区)は、小多機・看多機・保育の各事業を始めたことで、高齢者と子どもたちとの触れ合いや地域住民との密接な交流が図れるようになった。板井佑介代表に地域とのかかわりを中心に聞いた。
■家政婦紹介所を基に地域で70年の歴史
――ケアメイトの創立は。
70年ほど前に祖母が家政婦紹介所を開設したのが始まりです。法改正で付添婦が廃止になって介護保険ができることになり、当時の家政婦紹介所はこぞって介護事業を始め、当社も父がケアメイトを立ち上げました。ちなみに、家政婦紹介所は「城南ケアサービス」と名称を変え、母が事業を継続しています。
私は大学を出て生命保険会社に入社し、11年ほど勤めた後、父が亡くなったため、2011年にケアメイトを継ぐことになりました。現場を知らないまま、いきなり経営者として入ったので大変でした。
――現在の体制は。
本部のほか、品川区を中心に8つの営業所があります。「在宅ケア&多世代共生拠点『けめともの家・西大井』」と称している品川営業所では、訪問看護・居宅介護支援・訪問看護・看多機・地域保育の各サービスを提供しています。
そのほか、大田営業所・目黒営業所・桜新町営業所で訪問介護と居宅介護、荏原営業所と港営業所では訪問介護、品川八潮営業所では小多機、品川二葉営業所では食支援・配食サービスを行っています。従業員数は常勤がパートも含めて70人ぐらい、登録のヘルパーが130~140人ぐらいいます。
――高齢者と障害者の訪問介護を行っているメリットは。例えば、両方やることでヘルパーの待機時間を減らすことができるとか。
おそらく介護保険制度ができる前から両方やっていますが、結局、オペレーションの問題なので、高齢者だけでも障害者だけでも、マネジメントさえきっちりできていればやっていけると思います。
むしろ、障害の状態はいろいろあり、移動支援などは長時間、付き添う必要がある場合もあります。それが毎週決まった曜日にあるわけではないので、時間だけでの相互補完的意味は、私の感覚ではあまりありません。
■制度改定に振り回されない
――訪問介護の倒産件数が過去最多を記録する中で、事業がうまくいっているのは。
介護報酬減額の影響は大きく、この辺りでも最近、廃業したところがあります。それでも弊社が曲がりなりに続けていられるのは、簡単に言えば、訪問に行く人がいるからです。
介護保険制度が始まる時点で家政婦がたくさんいて、その人たちにヘルパーの資格を取ってもらったので、いきなり100人規模のヘルパーがいる状態でスタートできました。しかも当初、競争がない中で地盤が築けたのが大きいと思います。
また、介護の仕事は常に制度に揺り動かされますが、それにあまり右往左往しないこともそこそこやれている要因かもしれません。例えば今だと「介護保険だけでは厳しいから、保険外サービスを」みたいな動きがありますが…

高齢者の住まいの過去・現在・これから 下🆕
■肝は介護保険事業計画が達成されないこと
田村 介護保険制度では、保険者(市区町村)は3年ごとに介護保険事業計画を策定します。事業計画には、各サービスをどれだけ整備するか、という計画値(整備目標値)が盛り込まれます。計画値は、ニーズ調査に基づく見込み量から算出されます。
当社では施設・居住系サービスについて、第3期(2006~08年度)事業計画から現在の第9期(2024~26年度)まで、計画値と、実際の整備量(都道府県がまとめる)を追いかけています。計画値と実績値をウォッチしているのです。
髙橋 とても貴重なリサーチです。
田村 なんと、第3期以降ずっと、計画値のほぼ7掛けぐらいしか整備できていないんです。達成率が最も高かったのは第7期(2018~20年度)の87.9%で、最低は第8期(2021~23年度)の66.3%でした。計画値そのものも、期を重ねるごとに縮んでいます。
髙橋 高齢者が増え介護保険サービス利用者の数も増えているのに。
田村 ここが一番の肝だと私は思っています。介護保険事業計画は介護保険事業の屋台骨といえます。ところが、ニーズに基づいて計画したにもかかわらず、その7割程度しか整備できない。それはすなわち…

高齢者の住まいの過去・現在・これから 中🆕
■供給先行で普及したサ高住
髙橋 サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)が登場したのは2011(平成23)年ですね。当時の厚労省老健局長は、サ高住のコンセプトを“厚生年金受給者が入居できる質の高い高齢者住宅”と説明していました。
ところが、今やサ高住は住宅でなく施設のように扱われ、囲い込みの問題も出てきています。サ高住をどう評価されますか。
田村 サ高住が登場したのは「介護保険安定期」です。サ高住の前身は高専賃で、さらにその前は高優賃でした。これらをベースに2011年、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)を改正し、サ高住が誕生しました。
そもそも高専賃のニーズはそれほど高くなくて、供給量も年間1万戸程度だったんです。ところがサ高住については、1室当たり100万程度という破格の補助金を出しました。この補助金は、土地持ちや、工務店、設計事務所、ハウスメーカーといった人には魅力的で、みんなそこに飛びついて、年間4万~5万戸と、一気に供給が進みました。
つまりサ高住に住みたいというニーズがあったから供給が進んだわけじゃなくて、先に供給サイドに火がついた。造れば目的が達成されるわけですから、造ったあと、入居者の生活支援をどうするか、その発想がないまま…

高齢者の住まいの過去・現在・これから 上🆕
■高齢者住宅の誕生から現在
髙橋 本日は田村明孝さんと、有料老人ホームなど高齢者の住まいについて語り合います。田村さんといえば、高齢者住宅の業界ウォッチャーの第一人者として知られます。まず、高齢者住宅の歴史を振り返りましょう。
田村 私と業界との付き合いは50年ほどになりました。高齢者住宅・施設の変遷を追うと、以下のように、いくつかの時期に分かれます。
最初は「高齢者住宅黎明期」。1970(昭和45)年、有料老人ホームの先駆けとなるものが出始めました。有料老人ホームはその少し前、1963(昭和38)年に制定された老人福祉法の29条に「届け出制」と規定されたことをきっかけに登場しました。
髙橋 老人福祉法では、行政が関与する措置施設の「養護老人ホーム」、今で言う要介護老人を入居させる「特別養護老人ホーム」、健康老人向けの「軽費老人ホーム」が施設体系として規定されました。
養護老人ホームは生活保護法に規定された「養老院」を継承した、低所得階層向けのいわゆる救貧施設でした。特別養護老人ホームの入居には所得制限があり…

中小事業者の生き残りへ サービスを多角化し他事業者と連携〔カラーズ〕 下🆕
■多様なサービス提供は効率的な働き方にも寄与
一方、処遇面では、いろいろなサービスを組み合わせることにより、ホームヘルパーの待機時間を極力減らすことで効率的な働き方を実現した。大田区内に事業を限定していることで、移動時間が少なくて済むことも大きい。
もっとも、サービスを組み合わせるために職員のスケジュールを調整するのは大変な作業だ。担当者の1人である訪問介護看護事業部長の吉田理枝さんによると「確かに大変だが、比較的時間の融通が利く定期巡回などをうまく組み込むことで対応している」のだという。
なお、田尻さんがIT業界出身ということで、ヘルパーの記録ソフトや連絡用のチャットシステム、事務では会計・人事労務ソフトなど、ICTを活用することへの抵抗がなく、積極的に取り入れていることも業務の効率化に貢献している。
教育・研修事業でユニークなのがマンツーマン講座だ。資格を持っているけれどブランクがあってやり方を忘れてしまった人、これから家族の介護を始めようとしている人…

中小事業者の生き残りへ サービスを多角化し他事業者と連携〔カラーズ〕 上🆕
訪問介護事業者の倒産件数が過去最多のペースで推移する中、東京都大田区で訪問介護を中心に事業を展開するカラーズは、高齢者だけでなく障害者や子育て中の母親への支援などサービスの多角化や他事業者との連携などにより、中小規模ながら着実に成長を続けている。
■大田区内に4つの拠点
カラーズは代表取締役の田尻久美子さんが2011年に設立した。大学卒業後、IT企業で働いていたが、母親が病気で亡くなった時に「看護の手伝いはしていたけれど、疾患を抱えていることの精神的な辛さが理解できなかったことが心残りになり」、母親にできなかった分を支援が必要な人のために行えればと介護業界に転じた。
大手の事業者などで経験を経て独立。当初は「高齢者の介護保険サービス事業者」として訪問介護事業を始めた。
しかし、事業を行っていると、利用者の中に障害を持つ高齢者がいたり、田尻さん自身が3人の幼い子どもを抱えながら、肺がんの父親の介護をしたりする中で「高齢者だけじゃなく、ライフステージに応じて支援が必要な人がたくさんいる」ことに気付いた。
そこで「制度が先にあるのではなく、生活ニーズや地域のニーズを基にやっていこう」と考え、高齢者の介護に加え、障害サービスや子ども・子育て支援などにも着手し、「介護事業者」から「地域を支える事業者」へと事業領域を拡大していった。
「制度とか、障害の有無とか、年代とかで区切ってサービスを提供するのでは、生活全体を支えられないのではないかということで、制度で区切らない、できるだけ面で支援できるように、いろいろなことに対応できるようにしていこうとやってきたら、サービスのラインナップがすごい数に増えてしまった」と田尻さんは笑う。
現在、大田区の大森西地区を中心に本社・大森町ホーム・研修センター・放課後等デイの4拠点を設け、60人の従業員で事業を展開している。他の経営者からは60人で数多くのサービスを提供していることに驚かれるという。
本社には本部のほか福祉用具事業部、居宅介護支援事業部、一般社団法人「大田区支援ネットワーク」の本部がある。全国的にケアマネジャーが不足していると言われているが、カラーズの居宅介護支援事業部は8人のケアマネを抱えている。
大森町ホームは訪問事業の中心で、訪問介護・訪問看護・定期巡回などのスタッフが詰めている。面白いのは本来、駐車場スペースだった場所を畑にしていること。放課後等デイサービスを利用している子どもたちと若いボランティアの人たちで大豆やジャガイモなどを育て…

利用者のために走り続けて50年 岐阜・新生会グループの軌跡 下
髙橋 繰り返しになりますが、新生会も新生メディカルも、スタッフの皆さんはとても優秀です。それぞれの施設をお訪ねするたびに、責任者の方々が仕事に誇りと責任をもっていると伝わってきます。新生メディカルのヘルパー(訪問介護「身体0」)さんたちのレベルも高いことが、この対談に先立つ記事で紹介されています。
介護の職場では、人材不足や、人材が定着しにくい問題が指摘されています。人材育成についてはどう取り組んでおられますか。
石原 かつて新生メディカルで旧ヘルパー2級の研修をするとき、最初の何時間かは私がものの考え方をレクチャーしていました。それが研修のスタートで、テクニックは後回しです。考え方が大事。
■人を育てる組織
石原 現場に入れば、利用者を一対一で担当するのではなく、複数のヘルパーがチームを作って担当するシステムです。チームでケアすれば、だれか体調が悪くなったりしても交替できますから。
そういうチームを利用者ごとに形成して、その1人をリーダーにします。別の利用者のチームでは別の人がリーダーになります。だから、あるチームでリーダーを務める人は…
コラム

第18回 実は大改正された介護予防・日常生活支援総合事業🆕
2024年8月、厚生労働省は介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)の実施要綱およびガイドラインの改正を発表しました。法改正を伴わなかったため専門メディアを含めて報道は少なく、自治体職員の理解はまだ十分ではないと感じています。 しかし、この改正は、厚労省が「フルモデルチェンジ」と表現するように、政策の目標は変わらないものの、実施・運営方法において大きな方針転換が行われています。今回は制度改正の詳細ではなく、マクロな視点からその背景と狙いを考察してみたいと思います。...

第55回 『透析を止めた日』に目を覚まされた🆕
医療関係者の間で話題になっている『透析を止めた日』(講談社、2024年11月刊)を読んだ。著者はノンフィクションライターの堀川惠子さんで、NHKの敏腕プロデューサーであった夫・林新さんの闘病や終末が活写されている。堀川さん自身も元NHKディレクターである。 林さんは若いころから多発性嚢胞腎を患い、30代で血液透析を受けていた。状態が悪くなって50歳で生体腎移植を受け、しばらくはQOLも良好であった。数年後、肝臓にも病変が見つかり、肝腎同時移植が検討されるが、実施には至らず。移植した腎臓もやがて機能が落ち、血液透析が再開された。...

第23回 マイナ保険証と電子処方箋🆕
国が進めている医療分野のDX化によって、私たちを取り巻く環境はどう変化するのでしょうか。システムの合理化は必須となり、マイナ保険証も徐々に普及しています。医療制度の中で生き残っていくには、受け入れて使いこなさなければなりません。 医療のDX化は悪いことばかりではなく、良い点もたくさんあります。医療・介護従事者が患者様や利用者様に直接対応できる時間が増えること、最新情報が手元にすぐ届くこと、それに対応して適切な指導ができること、などが挙げられます。...

第24回 社会保険料引き下げは誰の首を絞めるのか🆕
「現役世代の手取りを増やす」が、流行りの言葉らしい。そのために、税と社会保険料を引き下げるのだという。その先に何が起きるか分かっているのか? と思ってしまう。 社会保険料を引き下げれば、給付は細る。保険制度は本来、負担と給付が見合うもので、制度を通して所得の高い人から低い人への再分配が行われる。だから、制度が細ったときに影響を大きく受けるのは所得の低い人だ。病気になっても医療を受けられなかったり、老後の防貧機能が薄くなったりしかねない。 税や保険料を軽減して手取りを増やすと言っている人は、いずれ立場の弱い人にダメージが生じると分...

第54回 国立市長選で現職候補が敗北した
■地域包括ケアは高齢者偏重ではない 昨年12月、国立市長選挙が行われ、現職の候補が新人に敗れた。わずか582票差であった。私は現職候補を応援し、街頭にも立った。 2011年に市長に就任した佐藤一夫氏と、いわば二人三脚で、私は地域包括ケアを実践してきた。地域包括ケアって一体なんだろう。介護が必要になったら施設に入るのがベストじゃないのか。2011年は、まだそんな時代だった。 その佐藤市長が在任中の2016年11月に逝去された後も、後任の市長と協力関係を築いて、在宅ケアや地域医療の普及・向上に努めてきた。その市長が敗れた。 今回の選...

第53回 患者に「悪い話はしないで」と言われたら
■毎月の事例検討会で 毎月1回、「チーム国立」という事例検討会を開いている。国立市で在宅ケアに携わる在宅医や訪問看護師、行政などが参加している。 毎回、1事例を発表し、テーマを導いて討論する。先日は「悪い話は聞きたくない、という患者」がテーマとなった。報告された事例は大腸がん末期の66歳女性。数年前に夫を亡くし、息子と2人暮らし。息子は昼間は仕事に出るので、日中独居となる。 この方は4年前に大腸がんと診断され、手術と抗がん剤治療を受けた。抗がん剤の副作用がとてもつらく、1年で中止した後は病院から足が遠のいている。病院から紹介されて...
現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

公社初の「シニア住宅」を小金井市に建設供給 多世代交流へ「シェアリビング」も初めて設置 〔JKK東京〕🆕
JKK東京(東京都住宅供給公社)は、小金井市の「小金井本町住宅」の団地再生事業で、新築賃貸住宅「カーメスト武蔵小金井」内にJKK初となる「シニア住宅」を整備した。同住宅はバリアフリー設計とし、見守りサービスを付けて提供するサービスを限定することで、これまで供給してきたサ高住に比べ家賃負担の軽減を図った。また、住民が無料で使用できる「シェアリビング」を設けて世代交流を図るなど、高齢者向け住宅の新たな形を提示している。
■市の要望を受けシニア住宅を提案
小金井本町住宅は最寄り駅であるJR中央線武蔵小金井駅から歩いて約15分、同駅からのバスで約9分の中規模団地である。1960~61年に830戸が建設されたが、老朽化によって一部が建て替えられることになり、2020年からJKKと小金井市が団地のあり方について協議を開始した。
その中で、同市から示されたのが、同地区の高い高齢化率を反映した「高齢者が安心して暮らせるような福祉施設を整備する」という要望だった。
JKKではそれを受けて検討を行い、福祉施設だけでなく、「高齢者が低廉な負担で、住み慣れた地域で安心して住み続けられるような団地の建替事業」という構想の下、シニア住宅の建設を提案した。
さらに、手狭で交通アクセスが良好ではなかった「小金井にし地域包括支援センター」を移設する案も提示。協議の結果、これらの施設・住宅の建設が決まり「小金井本町あんしん住まいプロジェクト」として計画がスタートした。
第1弾として高齢者福祉施設「本町けやきの杜」が2023年8月にオープンした。第2弾として賃貸住宅「カーメスト武蔵小金井」内のシニア住宅40戸が竣工し、昨年12月から入居者の募集を開始。第3弾では一般住宅棟に併設して建設された地域包括支援センターが…

介護施設向けシフト自動作成サービス「miramos」発売 特許出願技術で作業時間を大幅に短縮〔コニカミノルタ〕🆕
コニカミノルタはこのほど、AIを搭載した介護施設向けシフト自動作成サービス「miramos(ミラモス)」を発売した。特許出願中の「夜勤・公休先行配置」により、少ない手直しで完成でき、シフト表作成にかかわる作業時間を大幅に短縮した。
■介護施設の要請でシフト作成ソフトを開発
以前は複合機のソフトウエア開発を行っていた、デジタルワークプレイス事業本部miramosプロダクトオーナーの森田光貴さんがこのソフトを開発することになったのは、介護関連の機器・システム開発を行っているQOLソリューションズ事業部からの相談がきっかけだった。
複合機は成熟した市場なので、新規事業を模索していたところ「介護報酬制度では加算の取得が必要不可欠だが、その要件が複雑なので介護施設が困っている。なんとかできないか」ともちかけられたのである。
シフト表から解析すれば、加算の要件を満たすかどうかをチェックできることがわかり、協力してくれることになった複数の介護施設からシフト表を提供してもらい、どのような加算が取れるかを判定してくれるソフトを開発した。
それを持って施設に行ったところ、既存のシフト作成ソフトは使い勝手が悪く、依然としてExcelや手書きで作成しているので、シフト表も作ってほしい、との要望が寄せられたためmiramosを開発することになった。
2023年4月に着手。最初は施設側から「完璧なものじゃなくても、ベースができるだけですごくありがたい」と言われたこともあり、9割ぐらいの完成度でシフトを作成するソフトを作った。
「これでいけるだろう」と最初は思っていたが、施設に持って行ったところ、使ってもらえなかった。実は残りの1割の部分が重要で、そこが既存のソフトが使われていない原因だったのである。中でも最大の問題が「夜勤」をずらすことだった。
■2段階でシフトを組むことで課題を解決
通常、夜勤は「夜勤明け」「公休」とセットになっており、夜勤をずらすと、3日分をずらさなければならない。
その3日先に「早番」「遅番」などが入っていると、それもずらすか、他の人に振り分ける必要がある。そうすると、玉突き状態で次々に修正しなければならず…

介護タクシーで高齢者が気軽に外出できる社会へ 予約アプリ「よぶぞー」を提供〔IT FORCE〕🆕
企業向けのシステム開発を行うIT FORCEが2023年3月から提供している、介護タクシー予約アプリ「よぶぞー」の登録者数が5000人を突破した。同社ではこのアプリの利用が広がることで、高齢者が気軽に外出できるようになることを目指している。
■開発のポイントは社会貢献とビジネスの両立
同社は06年に創業し、14年から米セールスフォースのコンサルティングパートナーとして、営業支援や顧客管理など、業務を効率化するシステム「セールスフォース」を国内企業に導入する支援を行っている。
業務の拡大を図るため、20年ごろから陰山光孝社長をはじめ経営陣が今後の方向性を検討したところ、蓄積したデジタルやITの技術を活用して社会に貢献していくことが、結果的に企業の発展につながるのではないかとの結論に達し、社会課題に挑戦していくことになった。
介護タクシーに着目したのは「そのころドライバー不足と、団塊の世代が後期高齢者になるという課題がメディアを賑わせており…

インナータイプのアシストスーツ「DARWING UT-Rise」発売 薄く涼しく着やすさを追求〔ダイヤ工業〕🆕
ダイヤ工業(岡山市)はインナータイプのアシストスーツ「DARWING UT-Rise(ダーウィン ユーティーライズ)」を発売した。現在、アシストスーツは服の上から装着するアウタータイプが主流だが、装着性の良いインナータイプを普及させることで、さまざまな現場で働く人にとって、アシストスーツがより身近なものになることを目指す。
■筋肉スーツからアシストスーツへ
ダイヤ工業は1963年の創業で、主に接骨院・鍼灸院・クリニックなどに向けて、日常用・スポーツ用サポーター・コルセットの開発・製造・販売を行っている。
同社がアシストスーツを手掛けるようになったのは、筋肉スーツを製品化したことがきっかけ。「首から指先までほぼすべての部位のサポーターを作っており、サポーターの集合体のようなものを作りたいと考え、全身筋肉スーツを開発することにした」と広報の藤原舞利子氏は説明する。
特徴は「二層構造で膝を持ち上げるパーツがあるので歩くのを補助したり、腰のサポートパーツが腰を支える機能を設けたこと」(藤原氏)。
高齢者がいつまでも元気に活躍するサポートがしたいと考え開発したものの、スポーツから作業現場での労働支援など、特にジャンルは特定しなかったが…

介護施設向け誤薬防止アプリケーション「メディアシ」 タカゾノの分包機と連携し手間をかけずに服薬を確認〔理経〕🆕
技術商社の理経(東京都新宿区)は介護施設向けの誤薬防止アプリケーション「メディアシ」を開発し、6月から提供を開始した。グローリー社のエンジンを利用した顔認証技術と、薬局向け製品などを製造するタカゾノ(大阪府門真市)の分包機を連携することで、介護現場での主要事故の1つである誤薬を、手間をかけずに防止することを可能にした。
■自社開発の顔認証技術を活用
1957年創業の理経はIT・エレクトロニクスの専門商社で、システムソリューション、ネットワークソリューション、電子部品及び機器という3つの分野で事業を展開している。
商社なので基本的には国内外のメーカーの製品を顧客に提供したり、組み合わせてソリューションとして提供したりしているが、自社開発も行っており、顔認証システムもその1つだ。
メディアシを担当するAIシステムセールスグループの鈴木利之グループ長によると、この技術を使ってメディアシを開発することになったのは、2年ほど前にタカゾノの販売代理店の方と話をしている中で「高齢者施設では誤薬の問題が結構あり、薬局にいろいろ相談が来ているけれど…
政策・審議会・統計
常勤職員の基本給は1万円余増 給付費分科会🆕
第245回社会保障審議会介護給付費分科会が3月24日に開催され、令和6年度介護従事者処遇状況等調査の結果が報告された。 令和6(2024)年度介護従事者処遇状況等調査は特養、老健、訪問介護、通所介護など9種・1万3801施設・事業所を対象に、24年10月に行われた。...
介護職員給与1万3960円増 処遇改善加算取得で
厚生労働省は3月18日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会で、2024年度の介護従事者処遇改善状況等調査結果を公表した。 それによると、処遇改善加算を取得している施設・事業所の職員(月給・常勤)の昨年9月時点の平均給与(賞与などを含む)は33万8200円で、前年同月に比べ1万3960円(4.3%)増加した。賞与などを除いた基本給は25万3810円で同1万1130円増だった。 調査は全国の1万3801施設・事業所を対象に実施し、8180施設・事業所から回答があった(有効回答率59.3%)。...
介護保険利用者の情報を一元化 来年4月から着手
厚生労働省社会保障審議会介護保険部会は3月17日に開催された会合で、介護分野の情報を一元化する取り組みを来年4月から開始する方針を了承した。 要介護度認定に必要な主治医意見書や要介護度、ケアプランなど、介護保険利用者の基本情報を1つにまとめ、介護事業者や医療機関、自治体などがインターネットで確認できるようにする。 これにより、自治体や事業所の事務負担を軽減し、サービスを提供するスピードを早めることが期待できる。マイナンバーカードの活用も視野に入れている。...
24年の出生数72万人で過去最少 前年比5%減
厚生労働省の人口動態統計速報によると、2024年に生まれた子どもの数(外国人を含む出生数)は、72万988人で過去最少となった。9年連続の減少で、前年に比べ3万7643人(5.0%)のマイナスとなった。 一方、死亡数は161万8684人で過去最多。4年連続で増加し、同2万8181人(1.8%)のプラス。この結果、死亡数から出生数を引いた自然増減数は89万7696人で、過去最大の減少となった。18年連続のマイナスで、同6万5824人減った。...
医師偏在是正へ 医療法改正案を国会提出 政府
政府は2040年ごろを見据えた医療提供体制を確保するため「医療法等の一部を改正する法律案」をこのほど国会に提出した。 地域医療構想については病床だけでなく、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする。地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携などを議題とする場合の参画を求める。...
業界の動き
褥瘡進行度を評価するAI技術の特許を出願🆕
フォーカスシステムズ(東京都品川区)は褥瘡評価ツール「DESIGN-R」の判定自動化に向けたAI技術について、鳥取大学と共同で特許出願した。 同社は2021年から同大医学部附属病院形成外科と共同で、スマートフォンなどで取得した褥瘡画像を解析し、DESIGN-Rを自動算出するAI技術の開発を進めてきた。 この技術は従来の目視による褥瘡評価の課題を解決し、評価の精度と効率を大幅に向上させる可能性があることから、新規性・進歩性があると判断し、特許出願をした。...
車いすに固定し着脱容易な導尿バックカバー発売🆕
フットマーク(東京都墨田区)は「導尿バッグカバー」=写真=を発売した。導尿バッグの尿を入れておく部分を隠すことで周りの目を気にせず過ごせるアイテム。車いすに固定したまま簡単に付け外しができる。 汚れてしまっても繰り返し洗濯することが可能で、清潔に保つことができる。水着と同じ速乾性のある生地を使用しているため、洗濯しても乾きやすく、洗濯した翌日も使える。 車いすに導尿バッグを固定したまま生地の伸縮性を活かして下から被せて装着する。下部をまくるだけで中身の確認や溜まった尿の排出処理ができるため、取り外す必要がない。...
サルコペニア治療の臨床研究をブラジルで開始
ヒューマンライフコード(東京都中央区)は、サルコペニアの治療法の開発を目指し、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール連邦大学と、サルコペニア特異的なバイオマーカー探索のための臨床研究を開始した。 同社は臍帯由来の間葉系細胞(UC-MSCs)を再生医療などの製品として実用化し、普及することを目指している。 サルコペニアは2016年に国際疾病分類に登録されて以降、疾患として認識されているが、現行の診断では適切な治療介入タイミングを見極めることが難しく、効果的な治療法が確立されていない。...
新見市で高齢者ヘルスケアサービスの実証実験🆕
Nurse and Craft(広島県呉市)は、岡山県新見市・新見公立大学と連携し、同市の豊永地区で、STARTWELL導入を見据えた実証実験を3〜5月の3カ月間実施する。 STARTWELLは高齢者向けヘルスケアサービス。スマートウォッチを活用した24時間の身体・行動データのモニタリングと、定期的な尿検査キットの提供により、利用者の栄養状態の傾向を把握し、運動促進や睡眠・栄養改善、社会的交流の創出による高齢者の健康づくりを実現する。...
大阪・泉尾病院の共同送迎にAI配車システム提供
REA(東京都中央区)とみつばモビリティ(同港区)は、大阪府済生会泉尾病院(大阪市)の病院間送迎に、REAの提供するクラウド型AI配車システム「Noruuu-Sharing」を活用した送迎シェアリングサービスを提供する。 患者と各医療機関が泉尾病院へ送迎の依頼を電話で行うと、泉尾病院は依頼をNoruuu-Sharingのシステムに入力。その情報に基づきAIで送迎ルートを自動作成し、みつばモビリティが運行する車両のドライバーのタブレットへ送る。...
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