髙橋 延命先生は現在、横浜生活あんしんセンター所長として、市民の権利擁護に携わっておられます。私はこのセンターの創設の検討にご一緒し、また、業務監督審査会でもご一緒していました。権利擁護の手段の1つに、精神障害者や知的障害者…

髙橋 延命先生は現在、横浜生活あんしんセンター所長として、市民の権利擁護に携わっておられます。私はこのセンターの創設の検討にご一緒し、また、業務監督審査会でもご一緒していました。権利擁護の手段の1つに、精神障害者や知的障害者…
髙橋 ロードマップの右側は、いわば「精神障害者が地域社会で生きるために必要なこと」ですね。地域の医療やケアの仕組み、住民の意識改革などが挙げられます。
地域で生きるということでは、高齢者ケアから始まった地域包括ケアシステムは…
髙橋紘士さんがゲストを招き、医療・介護や社会保障を縦横に語り合います。
今回は、日本弁護士連合会の副会長や神奈川県弁護士会会長などを歴任した、延命政之弁護士と語り合います。
髙橋 日弁連は年に1度、全国規模で人権擁護大会を開催しており、今年は10月14日に…
■個室はぜいたくでなく最低要件
髙橋 個室ユニットは、居住者の自己負担がそれなりにかかりますね。
小川 去年から特養の入居申し込みが減ってきました。明らかにコロナの影響です。個室ユニットの料金を払いきれない方が増えているように感じます。
髙橋 その問題は重要です。どうしたらいいか…
髙橋 生活クラブ生協が社会福祉法人を設立し、高齢者介護事業に参入したいきさつは。
小川 今の言葉でいう要介護状態が重くなって、在宅介護ができなくなると、特養や老人ホームに入ります。そこはどんな所なんだろう。社会福祉法人でないと建てられないらしい。
中を見せて欲しいと頼んでも閉鎖的で…
髙橋 社会福祉事業の実施主体である社会福祉法人の多くは、歴史的に篤志家が私財を投じて設立したという経緯があります。その後、当初の形態から変化し、また、家業として代々親族が引き継ぐような法人も増えました。また、医療法人や営利企業の関係者が母体となる法人も増えてきています。いずれにしても…
■コロナで相談支援が揺らぐ
髙橋 コロナ禍での生活困窮者への支援について、どんな問題が浮かんでいますか。
奥田 さまざまな場面で不定形な困窮が広がるなかで、ある程度自由に機能したのが、生活困窮者自立支援制度の相談窓口でした。この制度がこの時期に存在していたことは、大変有意義だったと思います。ただ想定外だったのは、その窓口が給付手続きに追われたことです。
髙橋 生活困窮者自立支援制度は本来、給付中心ではなくケア中心の建て付けでしたね。
奥田 そうなんです。この制度の強みは、「人が人を支えること」といえます。ですから「原則給付無し」が特徴でもあります。相談支援を重視してアセスメントし続け……
■「私」と「官」と「公」
奥田 住宅政策と社会保障の関係を考える上で、「公(パブリック)」の概念が重要だと考えています。
住宅政策は基本的に民間市場に任され、国は、公営住宅の供給に限定して関わってきました。言葉として「公営」と表現されますが、これは、県や市町村が供給し国が制度の大枠と補助金政策によってすすめる、いわば「官営」として提供されていました。
しかし、今後は私的供給に任せる「私」でもない、あるいは公的な「官」でもない、もう1つの枠組み、つまり「公共」という言葉にふさわしい「公(パブリック)」、つまり「共有資源(コモンズ)」としての住宅が必要だと思います。
イギリスの民営化を進めたサッチャー首相(当時)が「社会はない」と言ったのは、私的所有による市場が生み出す「私」の世界と、政府・行政による「官」の世界しか認めず、しかも……
髙橋 奥田さんはいろいろな分野で活躍され、活動は多岐にわたっています。その端緒は学生時代、大阪・釜ヶ崎でのホームレス支援活動にさかのぼるとうかがっています。大学卒業後、牧師の資格をとって北九州市の教会の牧師になられ、牧師と並行してホームレスや困窮者支援を続けておられます。
北九州市という産業都市でホームレス支援の活動を展開され、今では日本で指折りの支援団体の1つに成長したというか、発展したというか…。
■スタート時は1日も早い解散を目指した
奥田 ありがとうございます。ただ、成長とか発展となかなか言いにくい業界でして、我々のような「困窮者支援団体」はあまり発展しないほうがいいわけです。活動は、1988年からですが、2000年にNPO法人「北九州ホームレス支援機構」が発足した時に「1日も早い解散を目指して今日始めます」とご挨拶をしたことを覚えています。しかし活動開始25年目の2013年に「もう解散できない」と覚悟を決め……
■「予防」より「備え」の認知症希望条例
【髙橋】 認知症に関わる日本の動向では、現在、どんなことに注目していますか。
【大熊】 認知症に関する条例制定が自治体のちょっとしたブームみたいになっていて、2020年6月時点で8つの自治体が定めています。これは、鉄道事故で亡くなった認知症の人の遺族が監督不行き届きだとJR東海に訴えられた裁判がきっかけです。
【髙橋】 1審・2審と原告のJR東海が勝訴しましたが、最高裁で遺族が逆転勝訴し、話題になりました。
【大熊】 「そういう事故はこれからも起こるだろう。それは気の毒だ。鉄道会社に遺族が請求されたら自治体が肩代わりしよう」と定めた条例が各地で制定されました。自治体が保険会社と契約して保険料を払うやり方も広まりました。
8つの自治体が認知症に関する条例を定めていると言いましたけど、その1つである和歌山県御坊市の条例は異彩を放っています。御坊市では、条例を作るときに認知症のご本人が大勢関わりました。不思議なことに……
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