〈特集〉の記事一覧
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疾病の社会的要因重視には大賛成。 しかし、日本での「社会的処方」制度化は 困難で「多職種連携」推進が現実的だ(下)

二木 立(日本福祉大学名誉教授)
■日本の地域包括ケアと地域共生社会
 日本では、疾病の社会的要因にストレートに取り組む動きは、まだ、ごく一部の医師・医療機関に限られています。しかし、私は、2000年前後から全国で草の根的に行われるようになり、厚生労働省も積極的に後押している「地域包括ケア(システム)」の先進事例で、患者・障害者が抱える社会的問題の解決に積極的に取り組んでいることに注目すべきと思います。その鍵が多職種連携であり、ソーシャルワーカーが「医療と社会(福祉)」をつなぐ上で大きな役割を果たしています。
 地域包括ケア(システム)の構成要素は法的には……

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薬では治せない孤立という現代病

西智弘 川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター
■「私なんていつ死んでもいい」
 58歳のタカダさんは、胃がんの手術を受けた後、腫瘍内科外来に紹介されてきた。手術後の再発を予防すべく、抗がん剤による術後補助療法を受けるためだ。
 医師が抗がん剤治療の内容について一通り説明したあと、タカダさんに
「何か、説明の中でわからなかった点はありますか?」
と尋ねるが、タカダさんは浮かない顔で、
「いえ、別に…」
と答えるだけだった。
「抗がん剤治療について不安がありますか? それとも本当は治療をあまり受けたくないとか…」
あまりにもタカダさんが心ここにあらずという感じだったため……

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豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(下)

■もともと多職種連携が進んでいた
 村崎保健師はTITについて「新型コロナというテーマで、職種も所属も関係なくいろんな立場から参加して議論しあえる場が、短期間で作れたのはすごい。こういうものが1つできると、次の課題についても、同じようにやればいいという感覚が皆に身についていくと思う」と評価する。
 TITには多様な職種が参加しているが、その背景には、この地域でもともと多職種連携が進んでいたことがある、と土屋医師は指摘する。豊島区には基幹病院が1つしかなく、小規模な病院と開業医が多い。また、規模の大きな在宅専門の診療所が少ないため、必然的に開業医が在宅医療を担ってきた。その周囲の看護・介護職も自然に加わり……

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豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(上)

としま在宅感染対策チーム
 新型コロナウイルス感染症対策には、地域全体での取り組みが重要だ。地域包括ケア・多職種連携の先進地域として知られる東京・豊島区では、多職種による「としま在宅感染対策チーム(TIT)」が発足し、活動を開始した。中心メンバーである土屋淳郎医師(土屋医院院長)と村崎佳代子保健師(本町訪問看護ステーション)に聞いた。
■30人のコアメンバーで立ち上げ
 TITを立ち上げたきっかけは、ゆみのハートクリニックを開業している弓野大医師が、自身のSNS上のグループスレッド(コミュニティ)に、「新型コロナウイルス感染症で地域医療介護職が困っていること」というアンケートの結果を掲載したことだ。それに対し岐阜県美濃加茂市の介護福祉士が、自らが管理者を務める訪問看護ステーションで実施している対策を紹介し、感銘を受けた村崎保健師がコミュニティの参加者に「豊島区でも対策を一緒に考えていこう」と提案した。
 土屋医師にも相談し、弓野医師を引き継いだ田中宏和医師を含め3人が音頭を取る形で多職種に呼びかけ、6月末、30人ほどのコアメンバーによりTITが発足した。
 新型コロナ対策は、これまで個々の医療機関や事業所などに委ねられていた。このため、例えば在宅医療では……

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新型コロナで利用者急増のMCS 変化に合わせ機能追加を検討

エンブレース
 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、地域包括ケア・多職種連携のためのコミュニケーションツール「メディカルケアステーション(MCS)」の新規採用が急増しているという。MCSにどんな変化が起きているのか。MCSを提供するエンブレース株式会社の南尚人執行役員CSOに聞いた。
■シンプルなシステム
 よく知られているように、MCSは①患者の名前の付いたグループスレッド「患者タイムライン」、②医療職などが特定のテーマで議論するグループスレッド(コミュニティ)、③ダイレクトメール、の3つで構成されている。中心的な機能である患者タイムラインは、特定の患者・利用者の情報を、関わっている医師や看護師……

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介護報酬のコロナ上乗せ特例に異議あり!

中澤まゆみ ノンフィクションライター
 デイサービスやショートステイなど、通所系・短期入所系事業者に対して、厚生労働省が6月1日から特例措置で始めた介護報酬の上乗せに、混乱が広がっている。
■利用者は悩み事業所は困惑
 この「特例」では毎月一定の回数に限り、実際にサービスを提供した時間に基づく報酬よりも「2区分上位の報酬」を算定できる。たとえば2時間以上3時間未満の場合、4時間以上5時間未満の報酬を受け取ることが可能だ。しかし、介護報酬は利用者の自己負担に直結している。サービスを提供していない時間の報酬を上乗せし、それに対して利用者に負担を求めるという、なんともおかしな措置である。
 6月中旬、友人から、「ふう、なんだかなぁ」というため息とともに、SNSメッセージが入った。母親が利用するデイサービス事業所から……

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医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
■ゲートキーパーとしてのかかりつけ医
 医療においてアクセスの保障は重要であるが、問題はその方法にある。今回の新型コロナウイルス感染症に関して諸外国の対応を報道などで聞くと、英国やオーストラリアなどでは、自分に感染の疑いがあると、病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医に相談する。かかりつけ医は「ゲートキーパー」である、地域において患者や国民に最も近いところ位置するプライマリーケアの中心的な存在である。
 日本では、風邪などでよく受診する近所の診療所はあっても、ゲートキーパーの役割を果たすかかりつけ医は、政府が普及させようとしているものの、まだまだ未発達である。重篤な状態であれば、救急車で病院に搬送し治療する必要があるが……

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医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(上)

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
 新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、いわゆる第2波の到来になっている。政府は、緊急事態宣言の解除後(5月25日)、経済を優先して人々の往来を促しているが、医療体制は、入院患者の増大などにより、再び逼迫しつつある。感染症対応の最前線で、医療関係者が自らの命を顧みず日夜奮闘しており、改めて敬意と感謝を表したいが、その背後には、日本の医療制度の問題が垣間見える。危機は既存の制度や仕組みの矛盾を顕在化させるからだ。それらはこれまで先送りされていた問題である。本稿では、そうした問題の中でも、フリーアクセスと医療資源の配分に焦点を当てて議論する。
■フリーアクセスの“副作用”
 医療においては、一般に、アクセス、費用、質の3つの間にトレードオフの関係がある。3つを同時に成り立たせることは難しいことから、多くの国は……

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僕たちは流行の最前線で新型コロナと戦った(下)

インタビュー 英裕雄
新宿ヒロクリニック院長
●保健所や地域の医療機関、事業所などとの連携は。
 これまでは、ほとんど保健所と関わっていなかった。インフルエンザが流行したときでも、保健所に連絡はするけど、協働して医療を提供することはまずなかった。
■保健行政との連携は必須
 ただ新型コロナについては当初からわからないことが多く、対応に戸惑うことだらけだったので、僕は2月末ごろからしょっちゅう保健所に電話して質問するようになった。患者のことだけではなく、スタッフが発熱したらどうしたらいいのかとか、症状がなくなったときの出勤の基準はあるのかとか、新型コロナウイルス感染症は指定感染症(2類相当)なので……

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僕たちは流行の最前線で新型コロナと戦った(上)

インタビュー 英裕雄
新宿ヒロクリニック院長
●新型コロナウイルス感染症に対して、どう動きましたか。
 新宿ヒロクリニックは東京・新宿の大久保にあって、地域の人たちに外来と在宅で医療を提供している。ご存じのとおり、このあたりはアジアを中心に外国人がたくさん住んでいて、コロナ以前は外国からの旅行者も多かった。クリニックの外来には、そういう外国人のほか、近隣の日本人高齢者も来院する。
■外来は完全予約制から一時的に休止へ
 新型コロナウイルス感染症が中国で発生したときから心配で、神経をとがらせていた。2月末ごろから本格的に対応を始め、3月になると感染防御の準備に追われた。ただ、そのころは知識も物資も十分ではなく、どう対応すべきか、日々、会議したり情報収集したり……

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