ホームヘルパーに聞く②「宝ケアサービス赤羽」の渡部利恵さん、「荒川サポートセンターかどころ」の長浦美加さん🆕

2024年 2月 16日

 東京都内の事業所で働くホームヘルパー4人に、この職種を選んだ理由や仕事内容などを聞く第2弾で紹介するのは、宝ケア株式会社「宝ケアサービス赤羽」(北区)の渡部利恵さんと、NPO法人東京ケアネットワーク「荒川サポートセンターかどころ」の長浦美加さん。2人はともにサービス提供責任者(サ責)を務めており、サ責ならではの大変さについても語ってもらった。

渡部利恵さん―多忙なサ責の職務、達成感が原動力に

 渡部利恵さんが勤務する宝ケアは、北区で訪問介護事業を54年間展開しており、宝ケアサービス赤羽は同社が運営している3つの事業所の1つある。

 渡部さんがホームヘルパーになったのは、10年ほど前。介護福祉士の資格を取得後、最初はデイサービスで働いたが、子どもが小さかったため、朝が早かったり、夜遅かったりすることもあるデイサービスの仕事は厳しいと感じていたところ、ホームヘルパーの経験を持つ同僚から「訪問介護は時間の融通が利く」と教えられ、転職することにした。

 他の人同様、始める前は技術的に1人でできるのか、何かあった時にどう対応したらいいのか、という不安があった。しかし「最初は先輩が同行して指導してくれるし、やってみたら『意外とできる』と感じて続けられた」そうだ。

渡部さん

 大変だったのは、初めて重度の障害者を担当した時。最初は痰の吸引や胃瘻などの処置について先輩や上司、サ責が同行して教えてくれたものの、1人で訪問するようになると、慣れるまでは大変だった。

 また、「よく『介護は排泄ケアやおむつ交換が大変でしょう』」と言われるけれど、そうした作業より、精神疾患の利用者への対応の方が難しい」という。突然、怒り出した時の対応が難しく、身の危険を感じたら、すぐに退室することにしている。こうした対応の仕方は事務所で決めている。

 生活援助は家政婦にやらせればいい、という考え方もあるが「訪問看護など他の機関との連携を含め、特に精神に障害がある人への対応は、専門の教育を受けた介護福祉士でなくては難しいのではないか」と見ている。

 ホームヘルパーとしてやりがいがあったと思ったのは、在宅で利用者の看取りを行ったこと。訪問診療や訪問看護、ヘルパーなどが連携し、家族も協力的で、本人の「最期は自宅」でという希望をかなえた時に、心底良かったと思ったそうだ。

多職種連携にもどかしさも
 常勤のホームヘルパーとして最初に働いたのは宝ケアとは別の会社で、5年ほど経った頃、その会社のサ責が退職したため勧められてサ責になった。

 その職場ではサ責が5人いたものの、全員現場に出るのが常態化しており、事務所には事務員がいるだけで、書類作成も追い詰められてやっている状況だった。

 そこで、知り合いのサ責からのアドバイスにより、現在の宝ケアに転職した。ここにはサ責が8人いて、当番制で必ず事務所にいることから、ヘルパーが訪問先でトラブルなどがあった時には、すぐに対応できる。

 宝ケアのサ責の基本的な業務は、本来求められている書類の作成である。新規の利用者がいた場合はモニタリングやアセスメント、計画書など1式の書類を必ず1カ月後に、更新の場合は翌月に提出している。

 現場にも行くが、それは自分の担当の利用者の訪問に行っているヘルパーが休んだ場合か、別の担当のサ責の都合が付かない場合に限られるので、訪問に行くのは1日に1~2件ほどだ。

 サ責として大変なのは、多職種連携だ。「ターミナルの人やADLが低下した人を担当している場合、看護師や理学療法士などと直接会って状況を聞きたいが、担当者会議の時にしか顔を合わせないのがもどかしい」。ただ、MCSのようなアプリを積極的に利用しているところとはうまく連携できている。

 最近感じているのは、利用者の家族に精神的な疾患があるケースが増えていることで、事業所にしきりにクレームを入れてくる人がいる。あまりにもクレームがひどい場合は、ケアマネに連絡してサービスの提供を断っている。

 渡部さんの事業所では大学の介護専攻の実習生を受け入れている。教授から話を聞くと、訪問介護で働きたいという人はほとんどいないという。その理由として渡部さんが感じているのは「以前の介護福祉士と今の介護福祉士ではレベルが違うこと」。

 4年制大学を出た介護福祉士はレベルが高く、ケアプランを立てられるぐらいまで勉強している。「そうした人たちは、掃除や洗濯などといった家事をやりたいとは思わないのではないか」と見ている。

 サ責の職務は書類の作成やヘルパーの引き継ぎ、多職種連携、さらには現場にも出るなど多忙を極める。それでも「1日が終わった時に達成感がある」ことが、渡部さんがサ責を続ける原動力となっている。

長浦美加さん―増える看取りへの対応にやりがい

 長浦美加さんの社会人としてのスタートは、病院の管理栄養士だった。しかし、この仕事が自分に向いていないと感じたため、ヘルパー2級を取得してホームヘルパーの仕事をすることになった。

 介護の仕事を選んだのは、出身地である石川県七尾市に祖父母がいて、帰郷することになっても世話ができること、介護保険制度が始まったばかりでホームヘルパーが不足していて賃金も良かったことなどがある。

 ちなみに、すでに祖父母だけでなく両親も他界しているが、今回の能登半島地震では弟家族が被災し、現在、金沢市で避難生活を送っているそうだ。

長浦さん1-1

 介護職の中でもホームヘルパーになったのは、友人がこの仕事をしていたほか、栄養士の資格を持っているので、栄養のバランスを考えながら利用者の食事を作ってあげることができると考えたため。

 最初に入社した事業所では、時間の融通が利くことから登録ヘルパーとして働き始め、その後、常勤ヘルパーとなり、事業所の補助もあってヘルパー1級を取得し、サ責を務めていた。ただ、サ責になったのは希望してではなく、あくまで事業所の都合によるものだという。

 かどころに移ったのは、自宅から近いことが理由だ。最初の事業所は台東区にあり、しかも本部がある北区にも行かねばならないことがあったので、通うのが大変だった。

 かどころは訪問介護事業所を1カ所、小多機を3カ所運営しており、長浦さんは最初から訪問介護事業所のサ責となった。

 介護でホームヘルパー以外の仕事をしようと思わないのは、ヘルパー2級を取得する研修でデイサービスに行った際、レクリエーションのリーダーを務めるのは苦手ということを実感したことがある。

 ホームヘルパーとしてのやりがいは、利用者と一緒に家事などをやっているうちに、利用者ができることが少しずつ増えていくのを見ること。

 年数を重ねるうちに過去の経験から「この人にはこういうふうに対応すればうまくいくのではないか」と、対応の引き出しが増えていくのを実感するのも楽しいし、本人や家族から感謝の言葉をかけてもらえることも大きい。

ヘルパーの高齢化に危機感
 「施設勤務に比べて大変そう」という理由でホームヘルパーになるのを避ける人たちがいることに対しては、現在、同じ事務所で事務兼介護の仕事をしている25歳の女性の例を挙げた。

 彼女は長浦さんの知り合いで、介護の仕事をするというので「施設より訪問の方が、力がつくからやってみれば」と誘い、一緒に働くことになった。

 彼女の訪問に対し、利用者の女性たちは、最初は「年配のヘルパーの方がいい」と言っていた。しかし、今は逆に「『おばあちゃんが若い子を育ててあげる』というような感じになって、『若いヘルパーに来てほしい』と言うようになった」そうだ。

 彼女は、今では「訪問介護は楽しい」と話しており、長浦さんは「大変そうに見えるけれど、こうした触れ合いを知れば、ホームヘルパーをやってみたいと思う人が増えるのでは」と話している。

 また、他の人たちも指摘しているように、資格取得の際の研修で、ホームヘルパーの仕事はビデオで学ぶだけになっていることも問題と指摘する。

 長浦さんが資格を取った頃は現場に行き、大変さだけでなく利用者とコミュニケーションを図るホームヘルパーの姿などを実際に見て、仕事の内容を実感できたことがホームヘルパーを選択する際の判断材料となった。

 サ責を務めていて大変なのは、現在、上述の25歳の女性と2人だけで事務関係の作業を行わなければならないこと。ホームヘルパーも不足していて、ほぼ1日中、自分も訪問介護に出ているため、書類の作成などを早朝に出勤してやらなければならない。

 ヘルパーに関しては、他の事業所と同様、かどころでも登録ヘルパーは高齢化しており、「あと10年すれば、ほとんどのヘルパーが80代になってしまう」との危機感がある。

 こうした状況を改善しようと、事業所ではサ責とホームヘルパーを募集しているが、荒川区ではどちらも不足しているため、応募してくる人はおらず、当分、問題は解決しそうもない。

 最近の傾向としては、看取りが増えている。「先日も病院から退院した方が亡くなるまでの4、5日間、訪問看護の合間に清拭したり頭を洗ったり、体をきれいにしてあげたところ、本人と家族がすごく喜んでくれた」そうで、これもやりがいとなっている。

 ただ、今回の介護報酬改定が訪問介護に厳しい内容となったことから、今後も在宅できちんとした看取りが行っていけるのか、懸念している。

 このように、訪問介護の今後については不透明な部分はあるものの、「利用者が自宅で自分らしく過ごし、そして慣れ親しんだ自宅で迎えられることを手助けができる現在の仕事を続けていきたい」というのが長浦さんの願いだ。

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訪問主体も小多機・看多機拠点に地域と交流 自社になければ他施設活用する工夫を 板井佑介・ケアメイト代表取締役 下🆕

■看多機と小多機の区別は意味がない
――看多機でもいいのですか。
 
 看多機と小多機を区別することには、あまり意味がないと思います。小多機は認知症の人、看多機は医療依存度の高い人、みたいなくくり方をすると、そういう人たちだけが集まって同質化してしまう。そうすると、化学反応が起きない。
 
 状態の異なる人がいるから、化学反応が起こる。例えば元気な認知症の人が、寝たきりになっている人に一生懸命声をかけて励ましたりするわけです。
 
――駄菓子屋もありますね。そうした子どもたちも高齢者と交流するのですか。
 
 フロアに上がってきたり、慣れた子はここを待ち合わせ場所にしたりしています。高齢者も本人が望めば接客したり、お金の計算をしたりしています。全然勘定が合いませんけれど。一緒に百人一首などをやっていることもあります。
 
 介護とか看護とか保育とか、そこの縦割りを壊すというか、地域包括ケアとか地域共生社会とか言われるものの具体的なひとつの姿を目指していると言えます。
 
 ただ、それにはスタッフのコーディネート・スキルがすごく大事で、さすがに何もしないでいきなり高齢者と子どもたちが交流することはありません。その点、自分からそういう状況を作ることが出来る職員がまだまだ少ないのが課題です。
 
■地域共生に対する感性を持つことが大事
――訪問だけで地域の多様な人たちと交流を図るのは難しいですか。
 
 難しいというか、それだけでは面白くないということです。集まる場があることが大切ですし、地域共生に対する感性を、訪問であってもケアマネジャーであっても、持てるかどうかが大事だと思います。自分のところに拠点がなくても、世の中にいくらでもありますから。
 
 例えば看多機で、先日、香川県の事業所と一緒にリモートでうどん作りをやりました。看多機のご利用者さまとご家族が参加しましたが、別にその人たちしか出入りしてはいけないとは言っていません。
 
 弊社のケアマネジャーが担当している高齢者で、普段はここを使ってないけれど、外出支援の形で来るようなプランを立ててうどん作りに参加すれば…

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訪問主体も小多機・看多機拠点に地域と交流 自社になければ他施設活用する工夫を 板井佑介・ケアメイト代表取締役 上🆕

 訪問介護・居宅介護支援を中心に事業を行ってきたケアメイト(東京都品川区)は、小多機・看多機・保育の各事業を始めたことで、高齢者と子どもたちとの触れ合いや地域住民との密接な交流が図れるようになった。板井佑介代表に地域とのかかわりを中心に聞いた。
 
■家政婦紹介所を基に地域で70年の歴史
――ケアメイトの創立は。
 
 70年ほど前に祖母が家政婦紹介所を開設したのが始まりです。法改正で付添婦が廃止になって介護保険ができることになり、当時の家政婦紹介所はこぞって介護事業を始め、当社も父がケアメイトを立ち上げました。ちなみに、家政婦紹介所は「城南ケアサービス」と名称を変え、母が事業を継続しています。
 
 私は大学を出て生命保険会社に入社し、11年ほど勤めた後、父が亡くなったため、2011年にケアメイトを継ぐことになりました。現場を知らないまま、いきなり経営者として入ったので大変でした。
 
――現在の体制は。
 
 本部のほか、品川区を中心に8つの営業所があります。「在宅ケア&多世代共生拠点『けめともの家・西大井』」と称している品川営業所では、訪問看護・居宅介護支援・訪問看護・看多機・地域保育の各サービスを提供しています。
 
 そのほか、大田営業所・目黒営業所・桜新町営業所で訪問介護と居宅介護、荏原営業所と港営業所では訪問介護、品川八潮営業所では小多機、品川二葉営業所では食支援・配食サービスを行っています。従業員数は常勤がパートも含めて70人ぐらい、登録のヘルパーが130~140人ぐらいいます。
 
――高齢者と障害者の訪問介護を行っているメリットは。例えば、両方やることでヘルパーの待機時間を減らすことができるとか。
 
 おそらく介護保険制度ができる前から両方やっていますが、結局、オペレーションの問題なので、高齢者だけでも障害者だけでも、マネジメントさえきっちりできていればやっていけると思います。
 
 むしろ、障害の状態はいろいろあり、移動支援などは長時間、付き添う必要がある場合もあります。それが毎週決まった曜日にあるわけではないので、時間だけでの相互補完的意味は、私の感覚ではあまりありません。
 
■制度改定に振り回されない
――訪問介護の倒産件数が過去最多を記録する中で、事業がうまくいっているのは。
 
 介護報酬減額の影響は大きく、この辺りでも最近、廃業したところがあります。それでも弊社が曲がりなりに続けていられるのは、簡単に言えば、訪問に行く人がいるからです。
 
 介護保険制度が始まる時点で家政婦がたくさんいて、その人たちにヘルパーの資格を取ってもらったので、いきなり100人規模のヘルパーがいる状態でスタートできました。しかも当初、競争がない中で地盤が築けたのが大きいと思います。
 
 また、介護の仕事は常に制度に揺り動かされますが、それにあまり右往左往しないこともそこそこやれている要因かもしれません。例えば今だと「介護保険だけでは厳しいから、保険外サービスを」みたいな動きがありますが…

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中小事業者の生き残りへ サービスを多角化し他事業者と連携〔カラーズ〕 下🆕

■多様なサービス提供は効率的な働き方にも寄与
 一方、処遇面では、いろいろなサービスを組み合わせることにより、ホームヘルパーの待機時間を極力減らすことで効率的な働き方を実現した。大田区内に事業を限定していることで、移動時間が少なくて済むことも大きい。
 
 もっとも、サービスを組み合わせるために職員のスケジュールを調整するのは大変な作業だ。担当者の1人である訪問介護看護事業部長の吉田理枝さんによると「確かに大変だが、比較的時間の融通が利く定期巡回などをうまく組み込むことで対応している」のだという。
 
 なお、田尻さんがIT業界出身ということで、ヘルパーの記録ソフトや連絡用のチャットシステム、事務では会計・人事労務ソフトなど、ICTを活用することへの抵抗がなく、積極的に取り入れていることも業務の効率化に貢献している。
 
 教育・研修事業でユニークなのがマンツーマン講座だ。資格を持っているけれどブランクがあってやり方を忘れてしまった人、これから家族の介護を始めようとしている人…

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中小事業者の生き残りへ サービスを多角化し他事業者と連携〔カラーズ〕 上🆕

 訪問介護事業者の倒産件数が過去最多のペースで推移する中、東京都大田区で訪問介護を中心に事業を展開するカラーズは、高齢者だけでなく障害者や子育て中の母親への支援などサービスの多角化や他事業者との連携などにより、中小規模ながら着実に成長を続けている。
 
■大田区内に4つの拠点
 カラーズは代表取締役の田尻久美子さんが2011年に設立した。大学卒業後、IT企業で働いていたが、母親が病気で亡くなった時に「看護の手伝いはしていたけれど、疾患を抱えていることの精神的な辛さが理解できなかったことが心残りになり」、母親にできなかった分を支援が必要な人のために行えればと介護業界に転じた。
 
 大手の事業者などで経験を経て独立。当初は「高齢者の介護保険サービス事業者」として訪問介護事業を始めた。
 
 しかし、事業を行っていると、利用者の中に障害を持つ高齢者がいたり、田尻さん自身が3人の幼い子どもを抱えながら、肺がんの父親の介護をしたりする中で「高齢者だけじゃなく、ライフステージに応じて支援が必要な人がたくさんいる」ことに気付いた。
 
 そこで「制度が先にあるのではなく、生活ニーズや地域のニーズを基にやっていこう」と考え、高齢者の介護に加え、障害サービスや子ども・子育て支援などにも着手し、「介護事業者」から「地域を支える事業者」へと事業領域を拡大していった。
 
 「制度とか、障害の有無とか、年代とかで区切ってサービスを提供するのでは、生活全体を支えられないのではないかということで、制度で区切らない、できるだけ面で支援できるように、いろいろなことに対応できるようにしていこうとやってきたら、サービスのラインナップがすごい数に増えてしまった」と田尻さんは笑う。
 
 現在、大田区の大森西地区を中心に本社・大森町ホーム・研修センター・放課後等デイの4拠点を設け、60人の従業員で事業を展開している。他の経営者からは60人で数多くのサービスを提供していることに驚かれるという。
 
 本社には本部のほか福祉用具事業部、居宅介護支援事業部、一般社団法人「大田区支援ネットワーク」の本部がある。全国的にケアマネジャーが不足していると言われているが、カラーズの居宅介護支援事業部は8人のケアマネを抱えている。
 
 大森町ホームは訪問事業の中心で、訪問介護・訪問看護・定期巡回などのスタッフが詰めている。面白いのは本来、駐車場スペースだった場所を畑にしていること。放課後等デイサービスを利用している子どもたちと若いボランティアの人たちで大豆やジャガイモなどを育て…

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介護報酬改定で経営が逼迫なら支援策を 小規模事業者の継続は協働化がカギ 石田路子・名古屋学芸大学客員教授🆕

 今回の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がすべて引き下げられた。これにより、今後、訪問介護はどうなっていくと考えられるか。また、打撃を受けるとみられる小規模事業者はどうしたらいいのか。介護報酬改定を議論してきた厚生労働相社会保障審議会介護給付費分科会の委員を務め、議論に参加してきた石田路子・名古屋学芸大学客員教授に聞いた。
 
■処遇改善の方向性は評価

――今回の介護報酬改定の内容を全体としてはどう評価していますか。
 
 介護人材不足がいよいよ深刻化する中、処遇改善をとにかくやろうという、その方向性そのものについては間違いないし、今回は処遇改善に向けての施策がかなり講じられたのは確かだと思います。
 
――訪問介護の基本報酬だけが引き下げられたことについては。
 
 収支差率に基づいて厚労省が判断をしたということになると思います。昨年度の実績では、特養が前年度に比べマイナス1. 0%、老健がマイナス1. 1%だったのに対し、訪問介護は7. 8%とかなり大きなプラスになりました。
 
 さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護が11. 0%、夜間対応型訪問介護については9. 9%というように、高い数字になっているものですから、訪問に関しては…

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