リハビリセンター白鳥(しろとり)はより多くの人に個室を提供するため「個室型多床室」というアイデアを打ち出し、実現した施設である。1階のカフェでは職員手作りのパンや駄菓子などが販売され、近所の子どもたちが訪れる。
■個室型多床室
池田町の白鳥地区にある「リハビリセンター白鳥」は2階建てで、1階にリハビリルームとコミュニティカフェ、グループホームなどがある。2階は特別養護老人ホームとショートステイを合わせ45部屋で、ここが全国でも唯一の個室型多床室である。
一般的に多床室は4つのベッドがカーテンで仕切られ、ベッドとベッドの間の空間が通路だ。個室型多床室ではすべての居室を窓側に配置し、ベッド間の空間を個室の外にまとめ、ゆったりした共有スペースを設ける構造とした。このスペースはセミプライベート空間である。
なぜ、このような造りにしたのか。管理者の砂川淳一さんは「多床室には、ベッドの位置が窓側と廊下側に分かれる、プライバシーが保てない、といったデメリットがある」と指摘し、「そのデメリットを可能な限り取り除き、多床室でありながらも個室のような環境で過ごしていただける空間と、そして広い共有スペースを確保した」と答えた。「そうすることで、日常生活の支援を充実させることができる」。
居室は寝室の役割に限定する一方、さまざまな広さの共有スペースがあちこちに設えられている。大画面テレビや移動式菜園が設置されたパブリックスペース、1人で椅子に腰かけてうとうとしたりできるセミプライベートスペースなど、入居者が思い思いに過ごせる場所とした。
各居室は2.4m×2.7mと確かに広くはないが、すべての部屋に大きな窓があり、ベッドで横になっても外の景色が見える。部屋の入口の引き戸は障子で、外からぼんやり光が入ってくる。こうした工夫により、狭さの割に圧迫感は感じない…