新類型「通所+訪問」に賛否 給付費分科会

2023年 11月 8日

 

 11月6日、第230回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、①令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「訪問介護・訪問入浴介護」「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「居宅療養管理指導」「居宅介護支援」、②横断的事項の「介護人材の処遇改善等」「複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)」について議論した。

 それぞれの主な論点は以下の通り。

 訪問介護…看取り期の対応、同一建物の居住者にサービス提供する場合の報酬など
 訪問看護…専門的ケアのニーズが高い利用者への対応、看取り体制の強化など
 訪問リハ…リハにおける医療・介護連携の推進、認知症リハの推進など
 居宅療養管理指導…薬剤師によるICTを用いた服薬指導の評価、管理栄養士の居宅療養管理指導の見直しなど
 居宅介護支援…公正中立性の確保、特定事業加算の見直し、ケアマネ1人当たりの取扱件数など
 介護人材の処遇改善等…処遇改善加算の一本化、職場環境等要件等の見直し
 複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)…組み合わせと機能・役割、基準や報酬の考え方

 委員の賛否が分かれたのは複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)である。

230給付費分科会本文用

第230回介護給付費分科会資料7より

 複合型サービスとは2012(平成24)年の介護報酬改定で創設され、訪問看護と小規模多機能型居宅介護(小多機)を一体化した、現在の看護小規模多機能型居宅介護(看多機)が想定された。

 看多機に限らず「居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組み合わせ」として厚生労働省令で定める。

 2022年12月に介護保険部会が公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で、「複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当」とされた。

 これを受けて分科会でサービスの組み合わせと機能・役割、基準や報酬を議論している。

 賛成の委員は「通所介護事業所からの訪問が可能になれば、訪問介護事業所の人材不足対策になりうる」「小多機の泊まりが不要な利用者にとって合理的」といった意見を述べた。

 反対する委員は「通所のスタッフが果たして訪問もできるのか」「既存のサービスで十分なのに新設する意味はない」「介護保険制度がさらに複雑になるだけ」などと発言した。

 また、この新類型創設がすでに決まったように一部で報道されたことに苦言も呈された。 

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2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会🆕

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 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

賛否分かれる論点に進展なし 介護保険部会

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 「持続可能性の確保」の内容は
 
 ●1号保険料負担の在り方
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 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 ●軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方
 ●被保険者範囲・受給者範囲
 ●金融所得・金融資産の反映の在り方
 
 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

特例介護の新類型を提案 介護保険部会

 第128回社会保障審議会介護保険部会が11月10日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」などが議論された。
 
 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

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