第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
「拡大すべきでない」論者の意見は、
・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。
拡大に反対しない意見は、「現役世代の負担軽減は重要」「応能負担を強化すべき」「預貯金も勘案して2割負担の拡大を」「可能な範囲で制度を支え合うことは不可欠」などであった。
一方、「中山間・人口減少地域等における柔軟な対応等」として、現行の特例介護サービスに「新たな類型」が創設されることはほぼ決定とみられる。
この新たな類型では、「職員の賃金の改善に向けた取組、ICT機器の活用、サービス・事業所間での連携等を前提に、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和等を行う」こととなる。
ただし「サービスの質の確保の観点から、市町村の適切な関与・確認や、配置職員の専門性への配慮を行う」ことが前提とされる。
社会保障審議会介護保険部会(第132回)参考資料1より
中山間・人口減少地域に限り、居宅や施設サービスの人員配置基準の緩和が可能になる。報酬も、地域の実情に応じた包括的な評価の仕組みが認められる。包括的な評価の仕組みとは、現行の出来高報酬から包括報酬への転換だが、詳細は介護給付費分科会での議論を経て決定される。