第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
今回、「持続可能性の確保」は
●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
●補足給付に関する給付の在り方
●ケアマネジメントに関する給付の在り方
の3つの論点に絞って議論された。
「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。
●一定以上…「合計所得金額160万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場 合346万円以上)」
●現役並み…「合計所得金額220万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額340万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場 合463万円以上)」
今回、「一定以上所得」すなわち2割負担の所得層を広げる案が提示された。現行の「年金収入+その他合計所得金額280万円以上」を、260万円、250万円、240万円、230万円のどれかに引き下げる内容だ。
これらのいずれかに引き下げることに加え、新たに負担増となる人に対しては、当面の間、負担増の上限を月7000円とする「配慮措置」も打ち出されている。
さらに、預貯金等が一定額未満の人は申請により1割負担に戻す、との「配慮措置案2」も提示された。被保険者が通帳のコピーなどを提出して自己申告し、保険者が金融機関に照会して確認する、といったプロセスを経る。
社会保障審議会介護保険部会(第130回)資料1より
これまで、高齢者は年金など所得が少なくても預貯金が多いと指摘され、現役世代の保険料負担との不公平感が強調される要因となっていた。配慮措置案2は、応能負担の前提に、初めて預貯金要件が導入されるともいえる措置だ。
ケアマネジメントに関する給付の在り方(ケアプランを有料化するか否か)については、「他のサービスと同様、幅広い利用者に利用者負担を求める」「ケアマネジメントの利用者負担の判断に当たって、利用者の所得状況を勘案する」との論点が提示された。
さらに「住宅型有料老人ホームの入居者に係るマネジメントについて利用者負担を求める」案が示され、これがケアプラン有料化の第一歩となる可能性が高い。