第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。
見直しが決まった主な内容は以下の通り。
○中山間・人口減少地域における柔軟な対応
・特例介護サービスの拡張
・特例介護サービスの新たな枠組みでの包括報酬の導入
・市町村が関与する事業によって事業者がサービス提供を可能とする仕組みを導入
・介護事業者の連携強化
○大都市部・一般市等における対応
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の統合(夜間対応型を廃止し定期巡回に一本化)
○有料老人ホームの事業運営の透明性確保、高齢者への住まい支援
・中重度の要介護者を入居対象とする有料老人ホームに登録制などの事前規制を導入
・更新制を導入し一定の場合に更新を拒否する
・優良事業者を認定する仕組みを創設
○相談支援等のあり方
・ケアマネジャーの資格取得要件に診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師を加える。受験要件である実務経験を3年とする(現行は5年)
・法定研修受講を要件とした介護支援専門員証の有効期間更新の仕組みは廃止(主任ケアマネも同様)
・事前規制の対象となる有料老人ホーム(特定施設を除く)入居者のケアプランと生活相談ニーズに対応する、新たな相談支援の類型を創設
社会保障審議会介護保険部会(第133回)参考資料より
○ケアマネジメントに関する給付のあり方
・新たな相談支援の類型(上記)に対して利用者負担を求めることが考えられるが、丁寧に検討する