歯科用貴金属材料の緊急改定を承認 中医協

2022年 4月 13日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は4月13日、ウクライナ情勢により歯科用貴金属価格が高騰していることを受け、5月に緊急改定する厚労省案を了承した。

 支払側委員を中心に反対意見が多数述べられたものの、今回限りということで最終的に承認した。

 パラジウムが急騰した1~3月の平均素材価格を用いて5月に緊急改定を行う。7月は4月の価格を用いて判断する。緊急改定による患者負担増としては、大臼歯のインレイを行う場合、180円程度増加するとの見込みが示された。

 歯科用貴金属の基準材料価格(告示価格)については、今年度の診療報酬改定で、素材価格の変動状況を踏まえ、変動幅に関わらず改定2カ月前の平均素材価格を使い、4,7、10、1月の年4回改定することになった。

 反対意見としては、新たなルールが今月導入されたばかりであることから、まずはそれを適用すべきというものが多かった。また、昨年3~5月にパラジウムが高騰しており、今回の高騰が異例の上昇とは言えないとの意見もあった。

 事務局からは、1~3月の価格急騰は昨年3~5月に比べ2倍程度の高騰であること、歯科医療の現場から7月を待たずに対応を求める声があり、あくまでも特例として実施するものであるとして理解を求めた。

 また、林正純・日本歯科医師会常務理事も今回の対応は想定外の特殊事情によるもので、実際の価格が告示価格との間に大きな乖離があり歯科医療現場の負担が急増していることを訴えた。

 最終的に支払側委員を代表する形で松本真人・健康保険組合連合会理事が「ルールを度外視した運用を繰り返すことは診療報酬制度の信頼を損なうことになる。今回限りであることを確認してほしい」とした上で承認し、中医協として了承することになった。

 なお、セラミックなど価格が安定しているパラジウムの代替材料を開発して保険適用すべき、という意見も複数の委員からあり、厚労省も重要な課題だとして、関係学会や企業などの提案に基づき中医協で議論していく方針を示した。

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