神戸市は子ども・若者ケアラー支援の取り組みを進めている。相談・支援窓口の設置や関係者への理解促進などを行うほか、「孤独」や「孤立」という切り口から、必要な支援策を検討する仕組みづくりにも着手する。
ヤングケアラーが、家事や家族の世話などを行っている18歳未満の子どもを表すのに対し、同市では20代も対象とする必要性を認識したことから、20代も含め子ども・若者ケアラーと呼ぶことにした。
その背景には2019年10月、市内の当時21歳の女性が、同居していた90歳の祖母の介護と自分の仕事の両立に疲れ、祖母を殺害してしまう事件が起きたことがある。20年9月の裁判では「強く非難できない」として、懲役3年、執行猶予5年の判決が下されている。
これを受け、同市は20年11月、子ども・若者ケアラー支援に向けたプロジェクトチームを発足させ、具体的な施策検討を行った。
プロジェクトチームでは、まず市内76カ所の地域包括支援センター(あんしんすこやかセンター)をはじめとした市内の関係者に対し、子ども・若者ケアラーについて把握している実態や、関係者として行政に求める取り組み、支援の際、課題になると想定される事項などのヒアリングを行った。
同チームの検討を経て、市では今年度から新たに「こども・若者ケアラー支援担当課長」の配置に加え、専任の相談員を配した相談・支援の窓口を設置することを決めた。また、学校・福祉・児童の関係者に対する研修など、こども・若者ケアラーへの理解促進を図る取り組みや、当事者同士の交流・情報交換の場づくりも行うことにした。
さらに、今年度に新設した「こども未来担当局長」の所管事務に、子育て、福祉・健康、教育などの施策を進める際、孤独や孤立という切り口から必要な支援策を検討できる仕組みを設けることも進めている。