厚生労働省社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会は11月14日、生活を支える介護サービス基盤の整備をめぐって議論した。
最初に検討の方向性を厚労省が示した。地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備としては、長期的な介護ニーズの見通しや必要な介護職員数を踏まえて計画を策定する。その際、既存施設・事業所の今後のあり方も踏まえた検討を各自治体に促す。
複合型サービスの創設
在宅サービスについては、既存資源などを活用した複合的な在宅サービスの整備を進める。例えば、訪問や通所といった複数の在宅サービスを組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設ける。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているサービスの将来的な統合・整理に向けて検討するほか、中重度の人に対する介護サービス基盤の整備を進める。
ケアマネジメントの質の向上では、適切なケアマネジメント手法の普及・定着、ケアプラン情報の利活用などを図る。
在宅医療・介護連携については、医療計画と介護保険事業計画の整合性を図るほか、介護保険事業計画で病床の機能分化・連携に伴う需要も踏まえる。都道府県・市町村の医療介護関係者が協議の場での協議などを通じて連携を図る。
地域の高齢者リハビリテーションの推進としては、介護保険事業計画での対応も含め、地域リハビリテーション体制の構築やリハビリテーションに関する取り組みを充実させる。
特別養護老人ホームでの医療ニーズへの適切な対応のあり方については、配置医師の実態なども踏まえ、診療報酬や介護報酬上の取り扱いも含めて検討する。
特例的な入所の実態を把握
施設サービスでは、特養で現在、要介護1・2については特例的な入所を可能としている。特例入所を実施している老健などの実態を把握した上で、適切な運用を図る。
住まいと生活の一体的な支援に関しては、介護分野以外の施策との連携や役割分担のあり方などを検討する。
科学的介護の推進のため、国が提供しているLIFEのフィードバックの改善、入力負担の軽減、収集項目を検討する。
介護サービスの情報公表では、社会福祉法人や障害福祉サービス事業者が財務状況を公表していることから、介護サービス事業者も財務状況を公表することを検討。各施設・事業所の従事者情報では、1人当たりの賃金なども公表対象とする。
介護現場の安全確保のため、自治体の取り組みの好事例の横展開や国による事故情報収集・活用の仕組みを構築する。
高齢者虐待防止では、身体拘束の防止のための方策、養護者に該当しない者からの虐待防止のための方策などを講じる。
看多機を居宅サービスに
委員からは、在宅サービスのうち、特に看護小規模多機能型居宅介護に関して多くの意見が述べられた。
看多機は地域密着型サービスであるが、小規模自治体や中山間地域の自治体などでは地域で整備できないところがある。そうしたところでも利用できるよう、居宅サービスに位置付けることが提案された。定員増の要望もあった。
また、ケアマネジメントの質の向上に関しても複数の委員から意見が出て、質もさることながら、ケアマネジャーの不足に対する人材確保の問題や、居宅介護支援事業所の独立性の必要性などが指摘されていた。