第16回 マイナ保険証は高齢者を置き去りにしないか

2023年 4月 28日

■患者側のメリットは確かにある
 医療分野でも、いよいよ本格的なデジタルトランスフォーメーション(DX)化が始まりました。まずはマイナンバーカードを健康保険証として使用する、マイナ保険証の導入です。
 
 DXを取り入れることで業務を効率化し、医療費の無駄をなくして、患者に適正で質の高い医療を提供できる。市民は、より安全で安心な生活を送れるようになる。それが目標です。
 
 2023年4月には特例措置でマイナ保険証関連の医療費をさらに引き上げ、マイナ保険証を使えば患者自己負担も低くなる報酬改定を行っています。
 
 2022年10月より、マイナ保険証に対応した医療機関を受診した場合の医療費の負担について、利用した際は21円から6円に引き下げ、従来の健康保険証を利用した際は9円から12円に引き上げられました。
 
 患者側のメリットはほかにもあります。マイナンバーで情報を承認すると、「お薬手帳」に相当する処方内容や健康診断の結果などが閲覧でき、いつどこを受診されどのような処方であったか確認できます。それにより薬剤の重複や適正使用を確認できます。
 
 薬局薬剤師の役割も進化します。正しく調剤することだけでなく、得られた情報を吟味し、処方された薬剤が適切かどうかを検証し、問題があれば…
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第22回 10月から先発薬に「特別の料金」が導入された

 診療報酬が改定されて数カ月過ぎ、算定できなくなったもの、新しく算定できたものなどのデータが見えてきました。それは、大筋で「無駄を省き経費を削減する、社用車・設備の清掃点検をこまめにして大切に扱う、整理整頓して誰にでも使えやすい、快適な職場」を目指すものと読んでいます。これはミスや事故を無くすことにもつながります。
 
■ついに薬でも「選定療養」が実施
 新たな取り組みとして2024年10月から薬局における選定療養がはじまりました。選定療養とは、後発医薬品がある薬剤で先発医薬品を希望する場合、料金が上乗せされるという仕組みです。
 
 選定療養は医科や歯科では従前からありました。大病院の紹介状のない初診、入院時の差額ベッド代、白内障の多焦点レンズ、歯科の金合金、入れ歯のセラミックなど多くのものが対象です。「保険外併用療養費」とも言われます。
 
 今回、ここに医薬品が初めて加わりました。対象となる医薬品や患者様は一部に限られますが、先発品にこだわりのある、いままで後発品を拒否していた方々の薬剤が主な対象となります。後発医薬品(ジェネリック)の使用促進が頭打ちになり、医療費の削減の一環として…

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第21回 医薬品と健康食品の違いを正しく知ろう

 これからの薬局のあり方を示す調剤報酬(24年度改定)が6月からスタートしました。その方向として、①OTCの充実、②選定医療の患者負担の増額、③医療用医薬品のスイッチOTC化が挙げられます。さらに、報酬の算定用件に48 薬効群の品目を取り扱うことという規定が入りました。実際にその分類の薬を店舗に置かなければなりません。
 
■医薬品は安全基準が担保されている
 薬局の大きな役割は、地域住民の健康と安全を守ることです。医療費高騰の中、軽医療であるOTC推進も大きな課題です。セルフメディケーションの根幹であるOTCは、薬剤師にとっては薬を通して保険外で患者様の健康に貢献できるツールです。
 
 薬局薬剤師が処方箋で薬剤を交付する際は、他に飲んでいる薬剤・健康食品をお聞きし、相互作用・副作用があるかないか、確認しています。相互作用のあるものは中止していただくよう指導しています。
 
 医薬品の販売に必要な資格は、医薬品の分類に応じて…

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第20回 2024年度診療報酬改定、調剤のポイントは3つ

 2024年度診療報酬改定は、“短冊”(個別改定項目)が発表され、方向性が見えてきました。今回の改定は単に点数が変わっただけでなく、これからの日本の医療の行く末を示す重要な改定であると認識しています。
 
 それは「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」に示されたものが、本気で始まってきたことです。
 
 高齢者人口はやがて伸びなくなり、単身世帯・夫婦のみ世帯が急増することを見据えています。現役世代が急減することも明らかです。その対策は「より少ない人手でも回る医療・福祉の現場を実現」することで、その方向性が今回の改定のキーワードではないでしょうか。
 
 DX化はその切り札であると位置づけられ、そこを見据えて診療・介護報酬の改定も行われているように感じます。診療報酬は、今回6月1日実施と、2カ月後ろ倒しになります。
 
■在宅医療の需要増に対応
 調剤では、在宅医療・服薬フォローアップ・医療DXの3点が大きなテーマです。
 
 トリプル改定においては「在宅医療」が重視されています。2040年に向けて在宅医療の需要が増大していくとみられており…

第19回 大災害と大事故を自分に引き寄せてBCPを考える

 能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。2024年がスタートしてあっという間に3カ月になります。1月1日に発災した能登半島地震と、その翌日に起こった日本航空と海上保安庁機の衝突炎上事故は、辰年の大きな記録として残っていくことでしょう。
 
■薬剤師会はモバイル薬局を派遣
 能登の様子をテレビで拝見し、東日本大震災の際にお手伝いに行って目にした光景が目に浮かびました。今回も多くの薬剤師仲間が支援に行っています。介護関係者もボランティアで参加しています。
 
 大きな災害が起きるたびに、支援の様子も進化しているようです。発災直後から7日目まで・2~3週目・それ以降と、その時々に必要とされるものは何か、支援者はどう動くべきか、積み重なった経験が…

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第18回 薬品の供給不足が常態化・深刻化している

 2024(令和6)年の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス費のトリプル改定という大きな変化を前に、保険薬局においても薬剤師業務が患者様に向かうべく、AI導入や電子処方箋など、DX化をいろいろ進めています。その一方で、いま薬剤師の業務で大きな負担になっているのが、医薬品の調達です。
 
■咳止めの在庫不足が深刻
 通常よく使われる薬の出荷が止まったり制限されたりして、薬局や医療機関への入荷が滞っています。その数について、厚生労働省は少なくとも3000品目以上に上っているとみているようですが、これは医療用医薬品全体のおよそ2割にあたります。
 
 私たちの感覚では状況は日に日に悪くなっているようです。やっとコロナが一段落して、やはりというかインフルエンザが例年より早く流行しはじめています。また通常の風邪も流行りだしています。そのような中で現場の薬剤師は…

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