高齢者住宅のデータベースとコンサルティングを提供するタムラプランニングアンドオペレーティング(田村明孝社長)は、ホスピスホーム(同社は「緩和ケアホーム」と呼称)の実情に関する分析レポートを今月発行した。
近年、入院期間短縮が促進され、医療機関以外の場所への訪問看護サービス需要が増大している。訪問看護の報酬は介護保険か医療保険から給付され(下図)、要介護・要支援認定者は介護保険が優先する。
要介護・要支援認定者が医療保険で訪問看護サービスを受けるには、特定の病気・状態(末期がんや人工呼吸器使用など)に該当し主治医の指示が必要だ。

第182回社会保障審議会介護給付費分科会(2020年8月19日)資料3より
報酬金額は条件によって異なるが、おおむね医療のほうが多い。
●医療保険(訪問看護基本療養費=2022年診療報酬改定に基づく)
看護師の訪問…週3日までは5550円/回、4日目以降は6550円/回
専門の研修を受けた看護師による訪問…1万2850円/回
●介護保険(訪問介護費=2021年介護報酬改定に基づく)
訪看ステーションからの訪問の場合、
20分未満…313単位(=3130円)
30分未満…470単位(=4700円)
30分以上1時間未満…821単位(=8210円)
1時間以上1時間30分未満…1125単位(=1万1250円)
前述の「医療機関以外の場所への訪問看護サービス」には、介護保険適用と医療保険適用があるわけだが、タムラプランニングによると、近年、特定の訪問看護事業所と連携し、医療保険(診療報酬)による訪看サービスで多額の収益を上げる高齢者住宅が増加している。
“特定の訪看事業所”とは自社・関連会社・それら以外と、さまざまなケースがある。田村社長によれば、ある高齢者住宅は精神疾患患者を多く入居させ、訪看事業所と連携して訪問看護を提供している。この高齢者住宅と訪看事業所は表面上は全く別会社で資本も別だが、実質オーナーは同一人物という。
医療保険(診療報酬)による訪看サービスで多額の収益を上げる高齢者住宅のなかでも、特定の疾患の患者を主な入居対象とする“ホスピスホーム”(ホームホスピスとは全く別の業態)は2018年ごろから急増している。
これらは入居者が負担する家賃など月額費用は低廉だが、入居者1人当たり年間売上高は高級老人ホーム並みという。
分析レポートにはそのほか、医療保険(診療報酬)による訪看サービスで多額の収益を上げる高齢者住宅の供給ランキングや、これらが増加した背景、こうした住宅の問題点などを掲載している。
●分析レポートは4月末日に発行した『TPデータサービス「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」 2025 年度上半期号』の緊急増刊号。『2025年度上半期号』の購入者には無償で提供、それ以外は有償となる。問い合わせ先=tamurakikaku-a@tamurakikaku.co.jp