「レカネマブ」の薬価決定へ議論開始 中医協

2023年 9月 28日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は9月27日、軽度のアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の薬価収載に向けた今後の進め方を承認した。

 レカネマブは製薬大手のエーザイと米医薬品大手バイオジェンが共同開発したもので、25日に製造販売が正式に承認された。

 この日の会合では、レカネマブが医療保険財政に影響を与える高額医療品に該当する見込みであることから、薬価収載時の算定方法や市場拡大再算定の適用などについて、中医協の薬価専門部会で検討した上で、その結果を基に総会で議論する方針が厚労省から示され、委員から異論は出なかった。

 また、認知症治療薬であり、介護費用にも影響を与えるため、介護費用の分析の取り扱いについても薬価専門部会と費用対効果評価専門部会で議論し、それを踏まえて総会で議論することになった。

 なお、新医薬品については薬事承認から原則60日以内、遅くとも90日以内に薬価収載することになっているため、90日以内に薬価収載を行うことも承認された。

 レカネマブが対象となる患者数は、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の380万9000人、軽度のアルツハイマー型認知症の161万人、合計542万人と見積もられている。

 多くの患者とその家族から期待される治療薬だが、臨床試験では重篤な副作用も認められており、使用に当たっては添付文書に加え、最適使用推進ガイドラインが作成されることになっている。

 投薬に際しては、患者要件として禁忌に該当しないことの確認や認知症のスコア評価、原因物質であるアミロイドβ病理を示唆する所見の確認などが必要となる。

 一方、医師・施設側には、診断やアミロイド関連画像異常(ARIA)の画像所見の判断ができる医師、必要なスコア評価やARIA判断ができるチーム体制や検査体制などがあることが求められる。

 このため、この日の会合では委員から投与対象となる患者が限定的となる可能性が指摘された。また、治療だけでなく、認知症の人を地域全体で支えていくことが必要との意見が複数の委員から出されていた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る🆕

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月11-17日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS