中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は9月27日、軽度のアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の薬価収載に向けた今後の進め方を承認した。
レカネマブは製薬大手のエーザイと米医薬品大手バイオジェンが共同開発したもので、25日に製造販売が正式に承認された。
この日の会合では、レカネマブが医療保険財政に影響を与える高額医療品に該当する見込みであることから、薬価収載時の算定方法や市場拡大再算定の適用などについて、中医協の薬価専門部会で検討した上で、その結果を基に総会で議論する方針が厚労省から示され、委員から異論は出なかった。
また、認知症治療薬であり、介護費用にも影響を与えるため、介護費用の分析の取り扱いについても薬価専門部会と費用対効果評価専門部会で議論し、それを踏まえて総会で議論することになった。
なお、新医薬品については薬事承認から原則60日以内、遅くとも90日以内に薬価収載することになっているため、90日以内に薬価収載を行うことも承認された。
レカネマブが対象となる患者数は、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の380万9000人、軽度のアルツハイマー型認知症の161万人、合計542万人と見積もられている。
多くの患者とその家族から期待される治療薬だが、臨床試験では重篤な副作用も認められており、使用に当たっては添付文書に加え、最適使用推進ガイドラインが作成されることになっている。
投薬に際しては、患者要件として禁忌に該当しないことの確認や認知症のスコア評価、原因物質であるアミロイドβ病理を示唆する所見の確認などが必要となる。
一方、医師・施設側には、診断やアミロイド関連画像異常(ARIA)の画像所見の判断ができる医師、必要なスコア評価やARIA判断ができるチーム体制や検査体制などがあることが求められる。
このため、この日の会合では委員から投与対象となる患者が限定的となる可能性が指摘された。また、治療だけでなく、認知症の人を地域全体で支えていくことが必要との意見が複数の委員から出されていた。