訪問系介護保険サービスの基本報酬が引き下げられた今年度の介護報酬改定によって、介護はこれからどうなっていくのか。福祉ライターの川名佐貴子さん(元シルバー新報編集長)に聞いた。
■医療側に多死時代への危機感
――基本報酬の減額がクローズアップされていますが、それ以外に今回の改定で印象的なことは。
今回のダブル改定から、2040年は死亡数がピークになることを改めて痛感させられた。施設に協力医療機関との連携を義務付け、入院させる前に相談せよとか、できるだけ病院では死なせないという、これまでに以上に強いメッセージを感じている。
それだけ医療の方は、この先の社会の変化に危機感を持っているっていうこと。医療の側には、寿命を迎えている高齢者など助かる見込みのない人が大挙して病院に押し寄せてきたらどうするのか、みたいな問題意識がすごくある。
介護報酬改定でもターミナルケアは拡充されたが、私が3年前に記者として取材していた当時と変わりがない。現場もまだ最期は病院に送ればいいと…
第21回 医療も介護もプラス改定だけど、ホントは
医療も介護も新年度からの報酬改定がまとまった。どちらも、かなりぎりぎりの内容である。表向きは「プラス改定」だが、人件費のベースアップを除けば、医療も介護もほぼゼロ改定だ。深刻さが世の中に共有されていないと思う。いくらか話題になったのは介護報酬の訪問介護だろうか。
■訪問介護引き下げの背景
介護報酬は、介護職の処遇改善に0.98%、介護職以外の処遇改善に0.61%を充てて1.59%のプラス改定である。プラス改定の全てを賃上げに充てた格好だ。事業所の収入に当たる報酬はゼロ改定だ。
そうはいっても、報酬改定は政策誘導のために行うものだから、上げる部分もあれば下げる部分もある。引き上げたのは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の基本報酬だ。事前の経営実態調査で赤字であることが分かっていた。
ゼロ改定なのに、どこかを引き上げるには、どこかを下げて原資を調達するしかない。ターゲットになったのは…
介護報酬改定で経営が逼迫なら支援策を 小規模事業者の継続は協働化がカギ 石田路子・名古屋学芸大学客員教授🆕
今回の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がすべて引き下げられた。これにより、今後、訪問介護はどうなっていくと考えられるか。また、打撃を受けるとみられる小規模事業者はどうしたらいいのか。介護報酬改定を議論してきた厚生労働相社会保障審議会介護給付費分科会の委員を務め、議論に参加してきた石田路子・名古屋学芸大学客員教授に聞いた。
■処遇改善の方向性は評価
――今回の介護報酬改定の内容を全体としてはどう評価していますか。
介護人材不足がいよいよ深刻化する中、処遇改善をとにかくやろうという、その方向性そのものについては間違いないし、今回は処遇改善に向けての施策がかなり講じられたのは確かだと思います。
――訪問介護の基本報酬だけが引き下げられたことについては。
収支差率に基づいて厚労省が判断をしたということになると思います。昨年度の実績では、特養が前年度に比べマイナス1. 0%、老健がマイナス1. 1%だったのに対し、訪問介護は7. 8%とかなり大きなプラスになりました。
さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護が11. 0%、夜間対応型訪問介護については9. 9%というように、高い数字になっているものですから、訪問に関しては…
医療と介護の報酬改定、方針が出揃う
12月11日、令和6年度の診療報酬改定の基本方針と介護報酬改定の審議報告案が出揃った。診療報酬改定は社会保障審議会の医療保険部会と医療部会、介護報酬改定は介護給付費分科会がまとめた。それぞれの基本認識・視点は以下の通り。共通する(と考えられる)項目を同じ色で示した。...
介護報酬改定でプラス9%を要望 全国老施協
全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は来年度の介護報酬改定で改定率プラス9%を求める要望書を17日に厚労省に提出した。大山知子会長らが間隆一郎老健局長を訪れ要望書を手渡した。...
通所介護や通所リハなど議論 給付費分科会
10月26日、第229回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「通所介護」「認知症対応型通所介護」「療養通所介護」「通所リハビリテーション」「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」について議論した。...
介護報酬改定時期に慎重な意見 給付費分科会
社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護給付費分科会は10月11日、厚労省が提示した介護報酬改定の実施時期を6月とする案について議論し、複数の委員が慎重な対応を求める意見を述べた。 2024年度診療報酬改定については、医療機関・薬局やベンダーなどの集中的な業務負担を平準化するため、6月1日から施行する案が中央社会保険医療協議会で了承されている。...
新複合型サービスに慎重な意見 給付費分科会
社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護給付費分科会は8月30日、介護報酬改定に向け、「認知症」「医療・介護連携」「新しい複合型サービス」「地域の特性に応じたサービス」「LIFE」をテーマに議論を行った。
このうち、認知症については認知症専門ケア加算の算定状況が極めて低い水準で推移していることが示され…
来年度改定へ通所サービス議論 給付費分科会
第219回社会保障審議会介護給付費分科会が7月10日に開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて通所サービスなどについて議論した。...
同時改定で給付費分科会と意見交換へ 中医協
中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は1月18日、厚生労働省が提示した2024年度の診療報酬改定に向けた検討の進め方を承認した。 12年度、18年度に次ぐ3回目の介護報酬との同時改定となる今回も、これまで同様、介護給付費分科会と意見交換会を開催する。...
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