通所介護や通所リハなど議論 給付費分科会

2023年 10月 26日

 10月26日、第229回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「通所介護」「認知症対応型通所介護」「療養通所介護」「通所リハビリテーション」「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」について議論した。

 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護については、入浴介助加算や個別機能訓練加算の見直しと適正化が取り上げられている。入浴介助の研修内容を算定要件に盛り込む、機能訓練指導員の配置を緩和する、といった案が示された。

 豪雪地帯に対する通所介護の取り扱いも検討されている。豪雪地帯では冬季、送迎車の燃料や除雪の経費、送迎時間の増加など負担が増すため、加算が設定されている。ただし地域が限定され、指定外地域では負担が評価されていない。地域の実情に応じた適切な評価が求められる。

 療養通所介護については、事業所が少なく広がっていない点が以前から指摘されている。障害福祉サービスを併設する事業所が4割ほどあり、地域ケア会議に参加するなど地域での連携にも取り組んでいることをふまえ、利用しやすくするため短期利用を導入する、障害福祉サービスの報酬改定を考慮して評価する、などが示された。

 通所リハビリテーションでは、現行の報酬体系が規模別・時間区分別となっている。いわゆる大規模減算については、これまでも「時代に逆行」などと指摘されている。今回も、事業所の規模でなくサービスの内容で評価すべき、との意見が出された。

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2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会🆕

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

賛否分かれる論点に進展なし 介護保険部会

 第129回社会保障審議会介護保険部会が11月20日に開かれ、「介護保険制度に関するその他の議題」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「持続可能性の確保」の内容は
 
 ●1号保険料負担の在り方
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 ●軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方
 ●被保険者範囲・受給者範囲
 ●金融所得・金融資産の反映の在り方
 
 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

特例介護の新類型を提案 介護保険部会

 第128回社会保障審議会介護保険部会が11月10日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」などが議論された。
 
 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

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