インフィック 見守りセンサーによる実証実験を埼玉で開始

2020年 3月 25日

 インフィック(静岡県静岡市)はこのほど、高齢者の新たな見守りソリューションの実証実験を、NTT東日本の協力により開始した。

 埼玉県鴻巣市の定期巡回・随時対応型訪問介護看護「なでしこ」の巡回サービスを利用している独居高齢者の自宅に、インフィックが企画・開発・販売を行うIoT見守りセンサー「LASHIC(ラシク)」3機種を設置した。週に何回かの巡回訪問時以外の安全確認と、緊急時の対応をどう行うかの検証を3月から3カ月間行う。

 設置するセンサーは住環境を感知する「LASHIC room」、就寝・起床、心拍などをモニターする「LASHIC-sleep」、緊急時にワンボタンで介護者と会話できる「LASHIC-call」。

 LASHIC roomは人感(運動量・動き)・温度・湿度・照度の各センサーを搭載し、居室内が健康を維持する上で十分な条件を満たしているかをモニタリングする。熱中症リスク・感染症リスクの警告や起床・就寝時刻の記録、一定時間以上、動作がない場合の警告、生活リズムの崩れによる認知症初期状態の注意喚起、暗闇での徘徊など異常行動の把握と警告などを行う。

 LASHIC-sleepは睡眠センサーで、ベッドのマットレスの下に敷くだけで設置でき、対象者のベッド上での状態をモニターする。厚みのあるマットレスでも動作可能で、ビニールカバー付きなので水に濡れても問題なく、介護ベッドの背上げ・脚上げにも対応する。ベッド上の動作や脈拍(推定値)、姿勢、睡眠をチェックする。

 LASHIC-callはナースコール的役割を果たす。緊急通知ボタンを触ると、指定したスマートフォンにアラートを送信し、センサーとスマートフォン間で通話ができる。センサー側は受話操作をせずに自動で通話を開始し、スピーカーとマイクを内蔵しているため、転倒などで動けない場合にも話すことが可能。番号ボタンに任意のスマートフォン番号を割り当て、通常の通話用に利用することもできる。インターネット回線を利用するため、通話料は発生しない。

 実証実験の対象となるのは、自立の87歳女性と要介護388歳女性。87歳女性は一軒家で一人暮らしをしており、週1回のデイサービスを利用しているほか、月に2回、清掃のための訪問を受けている。センサーを設置することで、普段と同程度の活動量か、認知症の前兆などが表れていないか、怪我などによって要介護状態を招く事故が起こっていないか、温度・湿度などの環境が最適か、といったことをチェックする。

 88歳女性も一軒家で一人暮らしをしており、家族・親戚と疎遠になっている。12回訪問介護を利用して生活支援・身体介助を受け、週3日デイサービスに通う。訪問介護が夕方の時間帯までしか行えないため、センサーの設置により、それ以降の的確なケア内容を把握し戦略作りに役立てる。

 センサーでモニターされる対象者のデータは、なでしこの加藤英樹社長ほか同事業所の巡回スタッフが監視し、異常時には加藤社長のスマートフォンにアラートが通知されるよう設定している。

 今回の実証実験を通じて、センサーが感知する部屋の環境・体調・行動をリアルタイムにケア担当者が把握する体制を設け、適切で確実なセンサーと巡回による介護手法のノウハウを構築していくことを目指す。

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