精神障害にも対応の地域包括ケア 厚労省が素案

2021年 2月 16日

 厚生労働省は2月15日に開催した「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに係る検討会」に=写真、基本的な考え方や支援体制のあり方などを盛り込んだ報告書の素案を提示した。

 構成員からは、素案の内容は「パラダイムシフトになる」と評価する見方が示される一方、「全体的に評論家的」「非自発的入院や家族同意など従前からの課題の記載が明確でない」などの指摘もなされた。

精神障害者にも地域包括ケア

 素案は「はじめに」「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムについて」「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構成する要素」の3つで構成されている。

 「はじめに」では、まず2017年2月の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書で、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの理念が示され、それ以降、都道府県などで障害福祉計画・医療計画に基づき、同システムの構築の推進を図ってきたとの経緯を記した。

 その一方で、同システムを構築する上での実施主体や機関の役割の明確化などの課題が明らかとなったことから、検討会を設置して、今後の方向性や取り組みを報告書としてとりまとめたと、検討会と報告書の位置付けを説明した。

 そして、厚労省は今後この報告書に基づき、諸制度の見直しや2024年度からの時期医療計画・障害福祉計画への反映、財政的方策なども含め具体的取り組みを検討し、実現を図るべきと結んだ。

 「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムについて」では、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、重層的な連携による支援体制を構築することが適当であること、同システムは「地域共生社会」を実現するための「システム」「仕組み」であり、システムの考え方や実践は地域共生社会の実現に向かっていく上で欠かせないものである、との基本的な考え方を示した。

 また、このシステムは精神障害のある人たちや、地域住民の「地域生活」を基本とするもので、日常生活圏域を基本として、市町村などの基礎自治体を基盤として進める必要があること、システムの基本方針が地域住民、地域の専門職、関係者に共有されることが重要であるとした。

 支援体制の考え方と構築に関しては、市町村が主体となり、保健所や精神保健福祉センターとの連携を図りつつ、精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、居住支援法人など居住支援関係者、ピアサポーター、意思決定を支援する者などとの重層的な連携による支援体制を構築することを求めた。

 3つめの「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構成する要素」では「地域精神保健及び障害福祉」「地域精神医療」「住まいの確保と居住支援の充実、居住支援関係者との連携」「社会参加の推進」「当事者・ピアサポーター」「家族の関わり」「人材育成」「普及啓発の推進」の8つの要素について詳述した。

 このうち、例えば「地域精神保健及び障害福祉」では、市町村での地域精神保健の充実が重要で、特に地域精神保健に関する業務の制度上の位置付けについて検討をする必要があることや、精神障害を持つ人たちが「本人の困りごと」に対して、必要な時に適切な支援を受けることができるよう、精神保健医療福祉に関わる人の連携強化を図る必要性などを指摘している。

 素案に対しては座長を除く21人の構成員から多様な意見が述べられた。厚労省ではそれらの意見を反映した案を3月4日の次期会合で提示し、承認を得る方針だ。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

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 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

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2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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