厚生労働省は1月18日、21年度介護報酬改定で新たに創設する加算や変更となる単位数を、同日開催した社会保障審議会・介護給付費分科会に示した。
感染症や災害への対応力強化を図るとともに、地域包括ケアシステムや自立支援・重度化防止への取り組みの推進、介護現場の革新などを図るため、ほぼすべてのサービスで報酬を引き上げる。また、新型コロナへの対応策として、4月から9月までの半年間、すべての基本報酬に0.1%上乗せすることになった。
地域包括ケアシステムの推進に向け、認知症や看取りなどで新たな加算を設ける。認知症については、訪問系サービスで認知症専門ケア加算を、多機能系サービスで緊急時の宿泊ニーズに対応するため、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新設した。
看取りでは、特養、老健、介護付きホーム、認知症グループホームでの看取りに関して、現行の死亡日30日前に加えて、45日前からの対応について加算を新設。介護付きホームに関しては、看取り期に夜勤または宿直により看護職員を配置している場合、新たな区分を設ける。
短期療養については基本報酬の評価を見直すとともに、医療ニーズのある利用者の受け入れを促進するため、老健を対象に総合医学管理加算を新設。介護医療院での長期入院患者の受け入れを進めるため、長期療養生活移行加算を設ける。
ケアマネジメントに関しては、利用者が医療機関で診察を受ける際にケアマネが同席し、医師などと情報連携を行い、ケアプランに記録した場合、通院時情報連携加算が算定できるほか、地域包括支援センターが介護予防支援について居宅介護支援事業所にケアプランの作成を委託する場合の委託連携加算を新設する。
自立支援・重度化防止の取り組みでは、通所系・多機能系・居住系サービスで口腔・栄養スクリーニング加算、通所系サービスと看多機で栄養アセスメント加算、認知症グループホームで栄養管理体制加算を、それぞれ新設する。
寝たきり・重度化防止のため、特養や老健、介護医療院などを対象に、自立支援促進加算を新たに設けるほか、褥瘡マネジメント加算と排泄支援加算に関して、新たな区分を設けるとともに、要件の見直しや単位数の変更を行っている。
また、介護現場の革新では、居宅療養管理指導で薬剤師による情報通信機器を使った服薬指導を新たに評価する。
介護報酬全体としては0.7%の増額が決まっており、うち新型コロナ対応分の0.05%は半年間のコロナ対応のための引き上げに充てることになる。