厚生労働省は1月12日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護給付費分科会に、10月以降の介護職員の処遇改善について、臨時の介護報酬改定で対応する案を提示した。
国費で行われる9月までと同様、対象介護事業所の介護職員1人当たり月額平均9000円の賃金引き上げに相当する額を加算する。
対象となるのは処遇改善加算1~3のいずれかを取得している事業所で、賃上げ効果が継続するよう、補助額の3分の2は介護職員などのベースアップなどの引き上げに使うことを要件としている。
対象となる職種は介護職員に加え、他の職員の処遇改善にも使えるよう柔軟な運用を認める。
申請に当たっては、各事業所は8月までに都道府県へ月額の賃金改善額を記載した計画書を提出。賃金改善を行った後、計画の実績報告書を提出する。
この改善案に対し、委員からは多様な意見や疑問などが出された。まず、介護報酬で対応することにより、利用者・保険者負担の増加を懸念する意見が多くの委員からあった。
この点に関しては、40~64歳が支払う介護保険料は1人当たり月70円程度増え、65歳以上については、当面、介護給付費準備基金などで対応するとの試算・方針が厚労省から示された。
また、現行の処遇改善加算1~3を取得していることが要件となるため、処遇改善の対象とならないケースがあることへの疑問や、処遇改善加算の仕組みが複雑になることを憂慮する声も複数の委員から出ていた。
さらに、現時点では対象施となっていない訪問看護や居宅介護支援なども対象施設とすること、4月と8月の2回申請書を提出することによる事務作業の負担増の軽減策を求める意見もあった。