診療報酬改定基本方針案を議論 医療保険部会

2021年 12月 2日

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療保険部会は12月1日、2022年度診療報酬改定の基本方針の骨子案を議論した=写真

医療保険部会01

 骨子案では①感染症に対応できる医療提供体制の構築②医師らの働き方改革の推進③質の高い医療の実現④制度の持続可能性の向上―の4つを基本として掲げ、このうち①と②を重点課題とした。

 各項目の具体的方向性としては、感染症に対応できる医療提供体制の構築では、外来・入院・在宅での診療体制の確保や医療計画の見直しも念頭にした取り組み、かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の機能評価、在宅医療・訪問看護の確保などを挙げた。

 医師らの働き方改革については、各職種によるタスク・シェアリングとタスク・シフティング、チーム医療の推進、業務効率化のためのICT利活用などが示された。

 質の高い医療に関しては、医薬品の安定供給や口腔疾患の重層化予防など、制度の持続可能性では後発医薬品の使用促進やOTC類似医薬品などの保険給付範囲の見直しなどが提示された。

 委員からは「かかりつけ医がセルフメディケーションの実践を後押しする機能を評価する方向で議論を」(藤井隆太・日本商工会議所社会保障専門委員会委員)「敷地内薬局は診療報酬の適正化だけでなく、そもそものあり方から見直すべき」(森昌平・日本薬剤師会副会長)などの意見が出された。

 また、「かかりつけ医の定義やあり方が十分整理されていない」(安藤伸樹・全国健康保険協会理事長)「OCTになったものがなぜ高く市販されているのか議論がない」(松原謙二・日本医師会副会長)などの指摘もあった。

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 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

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 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

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