〈対談・インタビュー〉の記事一覧
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官と民間の壁を破り新たな公共を創造する――ホームレスを生まない社会を求めて③

官と民間の壁を破り新たな公共を創造する――ホームレスを生まない社会を求めて③

■コロナで相談支援が揺らぐ
髙橋 コロナ禍での生活困窮者への支援について、どんな問題が浮かんでいますか。
奥田 さまざまな場面で不定形な困窮が広がるなかで、ある程度自由に機能したのが、生活困窮者自立支援制度の相談窓口でした。この制度がこの時期に存在していたことは、大変有意義だったと思います。ただ想定外だったのは、その窓口が給付手続きに追われたことです。
髙橋 生活困窮者自立支援制度は本来、給付中心ではなくケア中心の建て付けでしたね。
奥田 そうなんです。この制度の強みは、「人が人を支えること」といえます。ですから「原則給付無し」が特徴でもあります。相談支援を重視してアセスメントし続け……

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私たち民間が拓いた新たな支援のあり方――ホームレスを生まない社会を求めて②

私たち民間が拓いた新たな支援のあり方――ホームレスを生まない社会を求めて②

■「私」と「官」と「公」
奥田 住宅政策と社会保障の関係を考える上で、「公(パブリック)」の概念が重要だと考えています。
 住宅政策は基本的に民間市場に任され、国は、公営住宅の供給に限定して関わってきました。言葉として「公営」と表現されますが、これは、県や市町村が供給し国が制度の大枠と補助金政策によってすすめる、いわば「官営」として提供されていました。
 しかし、今後は私的供給に任せる「私」でもない、あるいは公的な「官」でもない、もう1つの枠組み、つまり「公共」という言葉にふさわしい「公(パブリック)」、つまり「共有資源(コモンズ)」としての住宅が必要だと思います。
 イギリスの民営化を進めたサッチャー首相(当時)が「社会はない」と言ったのは、私的所有による市場が生み出す「私」の世界と、政府・行政による「官」の世界しか認めず、しかも……

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隠されていた問題を明らかにしたコロナ――ホームレスを生まない社会を求めて①

隠されていた問題を明らかにしたコロナ――ホームレスを生まない社会を求めて①

髙橋 奥田さんはいろいろな分野で活躍され、活動は多岐にわたっています。その端緒は学生時代、大阪・釜ヶ崎でのホームレス支援活動にさかのぼるとうかがっています。大学卒業後、牧師の資格をとって北九州市の教会の牧師になられ、牧師と並行してホームレスや困窮者支援を続けておられます。
 北九州市という産業都市でホームレス支援の活動を展開され、今では日本で指折りの支援団体の1つに成長したというか、発展したというか…。
■スタート時は1日も早い解散を目指した
奥田 ありがとうございます。ただ、成長とか発展となかなか言いにくい業界でして、我々のような「困窮者支援団体」はあまり発展しないほうがいいわけです。活動は、1988年からですが、2000年にNPO法人「北九州ホームレス支援機構」が発足した時に「1日も早い解散を目指して今日始めます」とご挨拶をしたことを覚えています。しかし活動開始25年目の2013年に「もう解散できない」と覚悟を決め……

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地域に生きる――内外から医療と福祉を見つめて③

地域に生きる――内外から医療と福祉を見つめて③

■「予防」より「備え」の認知症希望条例
【髙橋】 認知症に関わる日本の動向では、現在、どんなことに注目していますか。
【大熊】 認知症に関する条例制定が自治体のちょっとしたブームみたいになっていて、2020年6月時点で8つの自治体が定めています。これは、鉄道事故で亡くなった認知症の人の遺族が監督不行き届きだとJR東海に訴えられた裁判がきっかけです。
【髙橋】 1審・2審と原告のJR東海が勝訴しましたが、最高裁で遺族が逆転勝訴し、話題になりました。
【大熊】 「そういう事故はこれからも起こるだろう。それは気の毒だ。鉄道会社に遺族が請求されたら自治体が肩代わりしよう」と定めた条例が各地で制定されました。自治体が保険会社と契約して保険料を払うやり方も広まりました。
 8つの自治体が認知症に関する条例を定めていると言いましたけど、その1つである和歌山県御坊市の条例は異彩を放っています。御坊市では、条例を作るときに認知症のご本人が大勢関わりました。不思議なことに……

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先駆者デンマーク――内外から医療と福祉を見つめて②

先駆者デンマーク――内外から医療と福祉を見つめて②

■「寝たきり老人」という言葉がない国を取材
【髙橋】 ゆきさんの重要なお仕事の1つは、外国での取材を通じて、日本であたりまえと思われていたケアのあり方に疑問をなげかける記事を精力的にお書きになり、ケアのあり方の転換と関係者の意識改革に大きな貢献をされたことです。
【大熊】 高福祉国といわれる北欧やオランダなどヨーロッパを取材して記事を書きました。論説委員だった1985年、「寝たきり老人」という概念のない国としてデンマークなどを紹介したら、反論の嵐。「遠くの国からわざわざ取材に来た客には隠しているのだろう」「医療の手を抜いて寝たきりになる前に死なせているに違いない」などと非難されたものです。
【髙橋】 当時は、影響力のある半可通の評論家たちによって「北欧は高福祉だが税金が高すぎて国民はかえって不幸」とか、「高負担の北欧には自殺が多い」「北欧では一人暮らしがあたりまえなので孤独に陥りがち」などの言説が流布していましたから。
【大熊】 すべて、事実に反していました。
 「いいところだけ見せられたんだろう」と疑う医師に……

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残された課題――内外から医療と福祉を見つめて①

残された課題――内外から医療と福祉を見つめて①

髙橋紘士さんがゲストを招き、医療・介護や社会保障を縦横に語り合います。
今回は、国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子さんをお招きしました。
【髙橋】 今回は、朝日新聞100年の歴史で女性初の論説委員を務め、現在は医療福祉ジャーナリズム分野で後進を育てておられる大熊由紀子さんと語り合います。(略)認知症を取り巻く状況はこれまでとはだいぶ変わって、認知症の人への理解が深まりつつあると思います。(略)
【大熊】 (略)厚生労働省も2012年に「認知症施策推進5か年計画」、通称オレンジプランを策定します。オレンジプランは「認知症の人は精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という考え方を改め、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指しました。
【髙橋】 政権交代があったから実現した、とも言われました。
【大熊】 ええ。オレンジプランができて、めでたし・めでたし、と思われたのですが、自民党が返り咲き、2015年に「認知症施策推進総合戦略」、新オレンジプランが作られ、方向性が突如変質しました。
 新オレンジプランは、記者発表資料の冒頭では……

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新型コロナの5つの疑問について、感染した医師が考えた(下)

新型コロナの5つの疑問について、感染した医師が考えた(下)

疑問2 陽性患者数を減らすことが目標なのか?――新型コロナ対策
――7月以降、陽性者が増え続け、累積患者数は増加する一方です。確かに、感染者数が増えれば重症者や死亡者の数も増えるし、医療機関の病床数も必要になるでしょう。メディアは連日、「今日確認された陽性者数」をセンセーショナルに報道しますが、対策のゴールはこの数を減らすことですか。
■4つのゴールから明確な目標を選べ
 一般社団法人未来医療研究機構の長谷川敏彦代表理事は、新型コロナ対策には4つのゴールがあると指摘する。
第1ゴール…ウイルス絶滅
第2ゴール…集団免疫獲得
第3ゴール…流行期間短縮とピーク抑制
第4ゴール…死亡者数抑制
 第1ゴールは究極の目標だが、最初の発生地である中国・武漢で封じ込めに失敗してパンデミックが起こった今となっては、もはや不可能。人類史上、ウイルスの根絶に成功したのは天然痘だけだ。
 第2の集団免疫獲得は……

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新型コロナの5つの疑問について、感染した医師が考えた(上)

新型コロナの5つの疑問について、感染した医師が考えた(上)

医療福祉経営や医療マネジメント分野から地域医療・地域包括ケアシステムについて論考・発言する武藤正樹医師は今年3月、新型コロナウイルス感染症に感染した。新型コロナをめぐってはまだ不明なことも多く、さまざまな情報が飛び交い、政策も二転三転する。武藤医師にコロナの5つの疑問を聞いた。
疑問1 ちょっと重いインフルエンザのようなものでは?--新型コロナの疫学
――新興感染症である新型コロナについて、どんなことがわかってきているのでしょうか。
 まず、私自身の体験をお話ししたい。私は前任地の都内の大学にいたころ、3月に新型コロナに感染し、昨年12月にはインフルエンザA型(季節性インフルエンザの一種)にもかかった。
■季節性インフルと新型コロナの経過
 昨年12月のある日、外来診療のために出勤したら……

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高齢化の急坂を上るために—医療と介護の来歴を語る④

高齢化の急坂を上るために—医療と介護の来歴を語る④

髙橋紘士×中村秀一
【髙橋】 社会保障の諸制度のなかでも後発である介護保険の財源調達の仕組みには、ほかの制度にない特徴がありますね。
■地方自治体が保険者の社会保険
【中村】 この対談の2回目で、介護保険ができる前の公的な高齢者ケアの問題点について述べました。老人福祉法しか根拠法がなく、財源は税金のみで、サービスの量も十分でなく、受益者についても低所得層に限られる…などです。高齢者数が増えることは確実でしたので、こういうシステムは限界であることが明らかになってきました。国民の4人に1人が高齢者という時代が目前で、新しい介護システムが必要となったわけです。では、どういう制度にするか、大きな議論があったわけですけれど、なかでも財源は最大の課題でありました。
【髙橋】 介護保険制度が議論された90年代後半は、国全体の経済状態が良くなかったですし。
【中村】 そこで、措置方式で利用者を“選別”するのではなく、だれもが一定割合を負担すれば等しくサービスを受けられる応益負担の仕組みを目指しました。その仕組みに変えていくためには、社会保険方式を導入する必要がありました。そこで介護「保険」の構想となり……

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「地域」と「在宅」が表舞台に—医療と介護の来歴を語る③

「地域」と「在宅」が表舞台に—医療と介護の来歴を語る③

髙橋紘士×中村秀一
【髙橋】 前回までは高齢者ケアや社会保障について、国の政策としての側面から、介護保険創設以前の状況を中心に語っていただきました。ここからは、もう1つの主体である地域にスポットを当てたいと思います。介護保険がなかった時代に、地域包括ケアシステムでいうところの互助、地域住民によるセルフヘルプが自然発生的に起こりました。それが連綿と持続し広がって、介護保険創設に至るパワーの一角を形成したのではないでしょうか。
■民間や地域の力も重要な資源に
【中村】 バブルが弾ける直前の1990年ごろは景気がとても良かったから、まず民間がこの領域に入ってきたんです。各地に福祉公社ができたり……

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