【髙橋】 社会保障の諸制度のなかでも後発である介護保険の財源調達の仕組みには、ほかの制度にない特徴がありますね。
■地方自治体が保険者の社会保険
【中村】 この対談の2回目で、介護保険ができる前の公的な高齢者ケアの問題点について述べました。老人福祉法しか根拠法がなく、財源は税金のみで、サービスの量も十分でなく、受益者についても低所得層に限られる…などです。高齢者数が増えることは確実でしたので、こういうシステムは限界であることが明らかになってきました。国民の4人に1人が高齢者という時代が目前で、新しい介護システムが必要となったわけです。では、どういう制度にするか、大きな議論があったわけですけれど、なかでも財源は最大の課題でありました。
【髙橋】 介護保険制度が議論された90年代後半は、国全体の経済状態が良くなかったですし。
【中村】 そこで、措置方式で利用者を“選別”するのではなく、だれもが一定割合を負担すれば等しくサービスを受けられる応益負担の仕組みを目指しました。その仕組みに変えていくためには、社会保険方式を導入する必要がありました。そこで介護「保険」の構想となり……