第15回 制度見直しに向けたフォーラム開催

2024年 7月 24日

 介護保険制度が始まっておよそ1年半後の2001年11月8~9日、武蔵野市は「介護保険フォーラムin武蔵野 介護保険制度の検証と改革を……」を開催した。主催は武蔵野市で、全国市長会が後援した。
 
■保険者が現場から声を上げる
 全国市長会の後援をいただいたこともあって、全国各地の市町村長、自治体の実務担当者、学識経験者、サービス事業者、市民など大勢参加してくださいました。
 
 事前に開催案内したところ600人以上の参加希望があって、会場である武蔵野公会堂のキャパを大幅に超えてしまいました。急遽、近くのホテルも借り、それでも参加希望者全員は収容できないので、抽選で465人に絞って開催しました。
 
 介護保険という全く新しい制度が導入され、しかも市町村は保険者、いわば制度運営者です。市町村はみんな、準備段階から大変な思いをしてきて、いざ始まったという高揚感というか、熱いものがあったと思います。スタートから2年目ともなると…
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第17回 「新しい総合事業」は介護保険の根幹を揺るがす制度変更🆕

■国は医療系サービスまで移行させようとしていた
 
 2015年4月、介護保険法が改正され、市町村事業である地域支援事業に「介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)が創設された。介護予防サービスのうち訪問介護と通所介護は廃止され、これらは新しい総合事業に移行することになった。
 
 もともと厚労省は、予防の訪問と通所だけじゃなく、もっと多くのサービスを新しい総合事業に移行させる、という考えでした。介護予防訪問看護とか介護予防通所リハも移すと。法改正前の厚労省担当者と学識経験者、市町村代表との非公式な検討段階の議論で、私はそれに猛反対しました。
 
 その理由は、訪問看護や通所リハは医療系サービスなので医師会の影響下にあり、基本的に市町村独自では単価の設定や需給調整などをコントロールできないからです。
 
 そもそも総合事業の目的は何だったのか。厚生労働省が2015年6月に示したガイドラインでは、①住民主体の多様なサービスを充実することで要支援者の選択肢を広げる、②多様な担い手による多様な単価、住民主体による低廉な単価の設定、③高齢者の社会参加の促進や効果的な介護予防ケアマネジメントを通じて費用の効率化を図る、といった狙いが示されていました。
 
 つまり、総合事業は市町村が住民主体の多様なサービスを創設し育成してコントロールするのが原則じゃないですか。でも、訪問看護や通所リハといった医療系のサービスが、果たして市町村のコントロールで受給調整できるのか。医師会など医療関係者と市町村には、連携しつつもどうしても緊張関係があって…

第16回 制度改革を訴える提言🆕

■フォーラムや実態調査をもとに
 
 フォーラムから2年後の2003年12月、武蔵野市は「介護保険施行5年後の見直しに向けて~武蔵野市からの提言~」を公表する。
 
 介護保険法の附則第5条には、政府は見直しの検討にあたって、「地方公共団体その他の関係者から当該検討に関わる事項に関する意見の提出があったときは、当該意見を十分に考慮しなければならない」と明記されています。
 
 武蔵野市は介護保険法が成立する前、法案に対して批判的なブックレットを発行したような(第3回参照)“もの言う自治体”です。5年後の見直しについて意見や要望をしっかり表明するのも、自然な成り行きと言えます。
 
 そこで、庁内に「介護保険施行5年後の制度見直しワーキングチーム」を設置しました。05年度(平成17年度)に予定されている見直しが検討されるのは04年度まででしょうから、01年のフォーラムで出された意見などに基づいてワーキングチームで検討し…

第14回 医療と介護の連携は介護保険創設前から

 2015年度(平成27年度)には、介護保険法に「在宅医療・介護連携推進事業」が市町村事業として定められ、18年度以降はすべての市町村がこの事業に取り組んでいる。要介護高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるために医療と介護の連携が不可欠であることは、今ではほとんど常識だが、武蔵野市の医療介護連携は、介護保険の開始からまもない時期に始まっていたという。
 
■ケアマネジャーが主治医と情報共有するために
 武蔵野市における医療と介護の連携の歴史は、ケアマネジャーとの関わりから始まったといえます。
 
 連載第9回で、武蔵野市がケアマネジャーを大切にしていることをお話ししました。武蔵野市は1999年度(平成11年度)に武蔵野市居宅介護支援事業者連絡協議会を立ち上げて、ケアマネジャー研修会を定期的に開催したり、情報公開や質疑応答などを実施したりしていました。
 
 そして2000年度の介護保険スタートと同時に「武蔵野市ケアマネジャーガイドライン」作成に着手し、01年3月にその第1版が完成したわけです。当時から、介護保険サービスを適切に提供する要はケアマネジャーであり…

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第13回 外出を後押しする移送サービス「レモンキャブ」

 テンミリオンハウスと並ぶ武蔵野市の独自事業「レモンキャブ」は、高齢者などを目的地に送る移動・移送支援サービスだ。その誕生には「ムーバス」が関わっていた、と笹井さんは説明する。
 
 レモンキャブのことをお話しする前に、ムーバスについてちょっと説明しておきたいと思います。ムーバスは、日本初のコミュニティバスとして1995年(平成7年)11月に運行開始しました。福祉部局でなく交通部局の事業です。
 
高齢女性からの手紙がきっかけだったコミュニティバス
 ムーバス事業を始めた最初のきっかけは、その5年前に当時の土屋市長あてに届いた市民からの手紙です。差出人は吉祥寺に住む高齢女性で…

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第12回 市民が主役の生活支援「テンミリオンハウス」

 武蔵野市の高齢者施策は、介護保険財源によらず一般財源に基づく独自事業も多彩だ。総合的な生活支援の「テンミリオンハウス」や移動・移送支援の「レモンキャブ」がその代表である。今回はテンミリオンハウスについて聞いた。
 
■認定で「非該当」となる人への新たなサービス
 テンミリオンハウスが誕生したきっかけは、介護保険制度導入に際して実施した、要介護認定モデル事業(連載第4~6回を参照)です。
 
 要介護認定のモデル事業は、当時のデイサービスやホームヘルプサービスを利用している方を対象に実施したわけです。当時、これらは措置制度に基づく行政サービスで、武蔵野市では予防的な方…

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