厚生労働省の「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」は6月23日、事務局が提示した報告書案を承認した。
栄養面に配慮した「内食」「中食」向けの食品を事業者が供給し、消費者が健康への関心の程度にかかわらず自然に選択することで、国民の健康の保持・増進を図ることを目指す。
特に重要な栄養課題となっている「食塩の過剰摂取」対策として「減塩」を優先し、「経済格差に伴う栄養格差」と「若年女性のやせ」の問題も取り組み対象に含めた。
具体的な取り組みとしては、食品メーカーには栄養に配慮していることを訴求する「訴求型商品」について、消費者の自主的・合理的な商品選択ができるよう、商品1食分当たりや1本分当たりなどの食塩相当量を分かりやすく表示することを求める。
スーパーなど食品流通業者には、健康への関心が高い消費者とっては訴求型商品を選択しやすく、関心が低い消費者には非訴求型商品を自然に選択できるよう、棚割りなどを工夫することを提案した。
若年女性のやせについては、メディアが発信する情報がダイエット行動に影響する可能性が指摘されていることから、メディア関係者とスポンサー企業にこうした点を認識することへの期待を示した。
厚労省では今夏をめどに産学官などの関係者で構成される組織体を立ち上げ、報告書案で示された食環境づくりを始動する。
組織体への参加を希望する事業者は、食環境づくりに貢献するSMART形式の行動目標と評価指標を自ら設定し、組織体に登録する。その上で、事業者は健康の保持増進などに関する行動目標の進捗状況を毎年評価し、組織体に報告する。
ただし、事業者や業界団体に対し数値目標を割り当てるようなことはせず、事業者が任意に行動目標を設定・遂行できるようにする。
組織体は毎年、前年度の取組成果を評価するとともに新たな目標を検討し、取り組みをスケールアップさせながら、次期国民健康づくり運動を始めさまざまな政策や施策の検討に反映させていく。