社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会は12月17日、医療制度改革に向けた「議論の整理案」を議論した=写真。次回の会合で取りまとめる予定。
前回の会合までに決着がつかなかった後期高齢者の窓口負担割合の見直しについては、15日に閣議決定された全世代型社会保障検討会議の最終報告案で示された、2割負担への引き上げ対象者を、課税所得が28万円以上(所得上位30%、現行3割負担の現役並み所得者を除くと23%)で、年収200万円以上(単身世帯。複数世帯では後期高齢者の年収が320万円以上)とする方針を盛り込んだ。
また、2割負担への変更による影響が大きい外来患者については執行後3年間、1カ月分の負担増を最大でも3000円に収める措置を導入することになった。
この見直しに関して、低所得者以外の全ての後期高齢者を対象とすべきと主張していた保険者の委員からは、今後、より幅広い所得層に対象を拡大する方向で検討していくべきとの意見が出された。一方、引き上げに反対していた医師会や歯科医師会、薬剤師会などの委員は、後期高齢者への理解促進や受診控えを避けるため、国から丁寧な説明を行うことを求めた。
議論の整理案に先立って議論した国民健康保険制度の取り組み強化の方向性案については、法改正などの手続きに対して自治体委員から反対の意見が相次いだ。同案では、都道府県と市町村の役割分担の下での取り組み強化として、法定外繰り入れなどの解消、保険料水準の統一、医療費適正化への取り組み強化が挙げられている。
このうち、法定外繰り入れと保険料水準については、これらの取り組みを国保運営方針に記載して進める考えが記され、医療適正化も含め結論が得られた事項については、法改正を含めて対応する案が示されている。
これに対し、自治体委員から「記載するのは議論が拙速になる可能性がある」「取り組みが進みつつある中で法に明記することは、都道府県や市町村の努力に水を差すことにならないか」などの反対意見が述べられていた。