基本方向を決定 障害福祉サービス等報酬改定

2020年 12月 14日

 厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは12月11日、2021年度の「障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性」を取りまとめた。重度化・高齢化した障害者が地域で生活するための支援や、医療的ケア児への支援などを推進する。

 重度化・高齢化した障害者が地域で生活するための支援としては、グループホームでの重度障害者の受け入れを整備するため、重度障害者支援加算について、施設入所支援と同様に、障害支援区分4以上の強度行動障害を持つ人を算定対象に加える。

 また、日中サービス支援型の基本報酬について、重度障害者の受け入れのインセンティブが働くよう、現行より重度者と中軽度者の報酬の差を拡大し、メリハリのある報酬体系に見直す。強度行動障害を持つ人がグループホームで体験利用を行う場合、強度行動障害支援者養成研修・行動援護従業者養成研修の修了者を配置しているグループホームに報酬上の評価を行う。

 さらに、夜間支援等体制加算では、事業所単位で夜勤または宿直の職員を配置し、複数の住居を巡回して入居者を支援する場合は、さらなる評価を行う。

 医療的ケア児の支援に関しては、厚生労働科学研究で開発された医療的ケア児に関する判定基準を導入。障害児通所支援で、判定基準のスコアの点数に応じて段階的な評価を行う「医療的ケア児」の基本報酬区分を創設する。

 看護職員加配加算の算定要件については、この判定基準を導入して見直しを行う。一般の事業所では、判定基準の基本スコアに該当する医療的ケア児に、一定量以上のサービス提供があることを要件とする。一方、重心型の事業所では、事業所を利用する児童の判定スコアの点数や、一定量以上のサービス提供があることを要件とする。

 また、看護職員加配加算の算定対象となっていない看護職員については、現行の機能訓練担当職員の配置要件と同様に、配置基準上必要となる従業者の員数に看護職員を含めてよいこととする。

 そのほか、基本的な方向性として、効果的な就労支援や精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進、感染症や災害への対応力の強化なども盛り込んだ。

 今後は年内の政府予算編成を経て、来年2月に改定案を取りまとめる予定だ。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月18-24日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS