12月11日、令和6年度の診療報酬改定の基本方針と介護報酬改定の審議報告案が出揃った。診療報酬改定は社会保障審議会の医療保険部会と医療部会、介護報酬改定は介護給付費分科会がまとめた。それぞれの基本認識・視点は以下の通り。共通する(と考えられる)項目を同じ色で示した。
【診療報酬改定にあたっての基本認識】
●物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応
●全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応
●医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現
●社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
【介護報酬改定の基本的な視点】
人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、
●地域包括ケアシステムの深化・推進
●自立支援・重度化防止に向けた対応
●良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
●制度の安定性・持続可能性の確保
を基本的な視点として、介護報酬改定を実施
こうした基本認識・方針に基づき、以下のような改定内容が示されている。
【診療報酬改定】
⑴現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進=重点課題
・医師、歯科医師、薬剤師、看護師以外の医療従事者の処遇改善
・医師の働き方改革
⑵ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
・医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
・生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取り組み
・質の高い在宅医療・訪問看護の確保
⑶安心・安全で質の高い医療の推進
・人生の最終段階における医療・ケアを充実させる取り組みを推進
・認知症の者に対する適切な医療の評価
・地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価
⑷効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
・後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品の保険給付の在り方の見直し
【介護報酬改定】
1.地域包括ケアシステムの深化・推進
・医療介護連携の推進
・福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し
2.自立支援・重度化防止に向けた対応
・LIFEを活用した質の高い介護
3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
・介護職員の処遇改善
・生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
4.制度の安定性・持続可能性の確保
・評価の適正化・重点化
・報酬の整理・簡素化
5.その他
・「書面掲示」規制(公的な証明書等を特定の場所に掲示することを求める規制。いわゆる「アナログ規制」)の見直し
・看多機のサービス内容の明確化