厚生労働省の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は12月20日、オンライン資格確認の導入の原則義務付けに関する経過措置と医療情報・システム基盤整備体制充実加算、医薬品の安定供給についての加算に関する諮問に対し、答申書を取りまとめた。
本田顕子政務官(左)に答申書を手渡す小塩隆士会長
来年4月1日からの原則義務付けに当たり、システム導入が間に合わない医療機関・薬局に対する経過措置については、来年2月末までにベンダーと契約したもののシステム整備が未完了の場合は遅くとも9月末までに、光回線のネットワークが未整備の場合は、回線が整備されてから6カ月後までにシステムを整備する。
また、訪問診療のみを提供する医療機関については、訪問診療のオンライン資格確認(居宅同意取得型)システムの導入を再来年4月までに、改築工事中・臨時施設の場合は改築工事・臨時施設が完了・終了するまでに整備。廃止・休止を計画しているところは遅くとも再来年秋までに廃止・休止するものとする。
さらに、自然災害などにより導入が困難であったり、高齢の医師でレセプト取り扱い件数が50件以下であったりするなど、特に困難な事情がある場合は事情が解消されるまでの期間を経過措置の期限とした。
21日の大臣折衝で唐突に打ち出され、支払側委員から反対意見が出されていた医療情報・システム基盤整備体制充実加算に関しては、大臣合意の重みを勘案して導入することが承認された。
期限は来年4月から12月までの9カ月間。初診・調剤では、現行のマイナンバーカードを利用しない場合の加算に上乗せして加算される。また、再診の場合は新たに加算を設ける。このため、マイナンバーカードを利用しない患者は、窓口負担が増えることになる。
一方、医薬品の安定供給についての加算では、薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する際、患者に十分な説明をすることと、施設内の見やすい場所に説明を掲示するという追加の施設基準を満たしている場合、現行の一般処方加算に上乗せして加算される。
後発医薬品使用体制加算、外来後発医薬品使用体制加算、薬局の地域支援体制加算についても、追加の施設基準を満たすことで加算が上乗せとなる。
医薬品の安定供給に関して、委員からは薬価や診療報酬だけで改善するものではなく、むしろ医薬品業界の抜本的な改革が必要という意見が多数出されていた。
また、医療情報・システム基盤整備体制充実加算がほとんど議論されずに導入されたことについて懸念を示す考えが、複数の委員から述べられていた。