診療報酬改定の2項目で裁定案を了承 中医協

2022年 1月 27日

 中央社会保険医療協議会は1月26日、次期診療報酬改定の個別項目について議論し、支払側委員と診療側委員の意見に隔たりがあった2項目について公益委員から裁定案が示され、了承した。

 双方の意見が対立していたのは、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に関する評価項目・該当患者割合の基準と、オンライン診療の算定要件・施設基準・点数水準である。

 重症度、医療・看護必要度については、支払側委員は12日の中医協で示された見直し案のうち、変更見直し案4を採用した上で、該当する患者割合もさらに引き下げるべきとの考えを示した。

 見直し案4とは「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更、「心電図モニターの管理」の削除、「輸血や血液製剤の管理」の点数を2点に変更、「衣服の着脱」の削除、「骨の手術」の日数を10日間に変更するというもの。

 これに対し、診療側委員からは、新型コロナ禍での病床の確保や感染症患者の受け入れなど、通常と異なる対応が求められている状況での見直しは、医療機関の負担増につながるため実施するべきではないと主張した。

 裁定案では、見直し案4を採用すると相当数の医療機関が基準を満たさなくなるとして、見直し案4のうち「点滴ライン」と「心電図モニター」「輸血や血液製剤」の3項目を残した見直し案3が妥当とした。

 その上で、重症度、医療・看護必要度Ⅰの該当患者割合の基準について、急性期一般入院料1を 31%に据え置いた上で、許可病床数200 床未満の医療機関については28%に引き下げるなどの見直しを提示した。

 オンライン診療に関しては、支払側委員から「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づき、算定要件・施設基準を設定すべきで、点数については、対面診療と同内容・同水準で実施される行為は対面診療と同等の水準とすることも含め、相当程度の引き上げが必要との意見が出された。

 一方、診療側委員からは、対面診療の実効性を担保するため、一定時間内に通院または訪問が可能な患者に利用を限定することや、オンライン診療のみを専門に扱う医療機関により地域医療に悪影響が生じないよう、オンライン診療の実施割合に関する上限設定は維持することが必要との考えが示された。

 また、点数水準については、対面診療でしか行えない診療行為があることから、対面診療と同等の評価はできず、「時限的・特例的な対応」として設定された水準を基本として設定すべきと主張した。

 裁定案では、オンライン診療の算定要件及・施設基準については、「指針」の規定を前提とし、その趣旨を明確化する観点から設定すべきであるとして、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切であるとした。

 また、オンライン診療は、面診療に比べ触診・打診・聴診などが行えないことを踏まえると、点数水準に一定程度の差を設けることは妥当で、オンライン診療の初診料は、対面診療の点数水準と「時限的・特例的な対応」の点数水準の中間程度の水準とすることが適当であるとの案を提示した。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案🆕

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会

 第124回社会保障審議会介護保険部会が9月8日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」などが議論された。
 
 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

人材確保に向け処遇改善を議論 給付費分科会

 第247回社会保障審議会介護給付費分科会が9月5日に開催され、「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査 (令和7年度調査)の調査票等について」「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」などが議論された。  「調査票等」は、「高齢者施設と医療機関の連携体制などの調査研究事業」「令和6年度介護報酬改定におけるLIFEの見直し項目及びLIFEを活用した質の高い介護の推進に資する調査研究事業」など4つの研究事業の調査票案を事務局が提示。...

日本の人口55万人減少 日本人減も外国人は増加

 総務省の人口動態調査によると、今年1月1日現在の日本の人口は1億2433万690人で、前年に比べ55万4485人(0.44%)減少した。  日本人が1億2065万3227人で同90万8574人(0.75%)減少したのに対し、外国人は367万7463人で同35万4089人(10.65%)増加した。減少する日本人の数を外国人の数が補う形となっている。  日本人は2009年をピークに16年連続で減少、外国人は13年の調査開始以降、最多となった。都道府県別では、日本人は東京都のみ増加した一方、外国人は全都道府県で増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(10月13-19日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS