製薬大手のエーザイは6月8日、米バイオ医薬品大手バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病(AD)の治療薬「アデュカヌマブ」が、米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認されたと発表した。脳内のアミロイドβを減少させるAD治療薬が承認されたのは初めて。
承認はアミロイドβの減少に対するアデュカヌマブの効果を実証した臨床試験のデータに基づくもの。今後、検証試験による臨床的有用性の確認が必要で、確認されなければ承認が取り消される可能性もある。
アデュカヌマブの有効性は、アミロイドの蓄積が確認された軽度認知障害・軽度認知症の患者を対象とした2つの臨床第Ⅲ相試験で評価された。また、プラセボ対照無作為化二重盲検用量設定試験でも評価され、これらの試験で、アデュカヌマブは一貫してアミロイドβの減少に対する効果が示されたという。
安全性に関しては、1回以上投与した3000人以上の患者で確認した。最も多く報告された有害事象は、MRIで観察されるアミロイド関連画像異常(ARIA)だった。ARIAを生じた患者のうち、最も多い症状は頭痛で、錯乱、めまい、視覚障害、吐き気などもあった。
迅速承認の一環として、バイオジェンは今後、アデュカヌマブの臨床的有用性を検証するAD患者を対象とした対照試験を実施する。