桜十字グループの先端リハビリテーションセンターSACRA(サクラ)が脳卒中や脊髄損傷などによる手指の麻痺を改善することを目的に、北九州市立大学と共同開発した「手指リハビリテーション支援システムNarem(ナレム)」が共同特許を取得した。
ナレムは従来の手指リハビリ法とはまったく異なり、動く方の手指の動作を「LEAP MOTION」で取得し、システムが関節ごとの細微な動作を解析して左右対称に動きをコピー、空圧制御グローブが瞬時に動きを再現するというもの。
これにより、動く方の手指と同じ動作を、ほぼ同時に麻痺した手指に行わせることができる。細かな動きを要する手指麻痺は、これまで効果的な治療法が確立されていなかったが、ナレムでは手指特有の関節ごとの細微な動きの再現が可能なため、従来の治療法を上回る効果が得られると期待されている。
また、麻痺した方の手指の動きをモニターで視認することで、運動の意図と結果を視覚的に照合することが可能となり、主体的に動かしていると脳が錯覚、それらの連続的な刺激が脳を活発化させ、より回復へと近づけることができる。
さらに、従来の手指リハビリ療法では1回のリハビリで6時間かかったり、セラピストの介助が必要だったりするが、ナレムは短時間で1人でも行うことが可能なため、時間や介助者の制限に捉われることなくリハビリを行うことができる。検証の結果、1回30分、週2回程度の使用でも効果が認められた。
発症からの時間に関わらず有効だという点も特徴だ。通常、リハビリは行うタイミングが重要だとされているが、ナレムでは回復期だけでなく、発症から時間が経過した維持期脳卒中患者でも一定のリハビリ効果が得られることが証明されている。
SACRAは全国でも珍しい病院内にある研究機関で、各種教育機関や民間企業、研究者らと協働して、リハビリテーションアプローチの新しい価値を創出すべく、共同事業・共同研究を進めている。