Chatwork活用による医師らの負担軽減を確認

2024年 10月 16日

 kubell(東京都港区)は武蔵台病院(埼玉県日高市)と共同で「DXによる医師および医療従事者の負担軽減とその効果に関する調査」を行い、ビジネスチャット「Chatwork(チャットワーク)」などのICTツールを活用することで、医師・医療従事者の負担が軽減することを確認した。

 生産性向上により入院患者のケアや見守りの時間が増加したことで、医療の品質が向上したことも明らかになった。

 同病院では2020年4月から全職員300人がチャットワークを利用しており、22年11月に医療・看護体制の見直しに際し、チャットワークの利用方法をアップデートし、申し送りなど日々の業務連絡への本格活用を開始した。調査は同年10月から24年9月末まで実施した。

 まず、以前は医師や看護師、その他スタッフ間での情報共有や勤務交代時の申し送りなどを口頭や電話、紙で行っていたのに対し、院内の主な連絡手段をチャットワークに変更した。

 これにより、回復期病棟を担当する医師4人の22年10月と24年5月の1日当たり平均比較で、医師1人当たりのPHS平均着信回数が31.5回/日から5回/日となり、約85%減少。PHS平均発信回数は23.3回/日から2.1回/日と約90%減少するなど、医師の負担軽減の効果が見られた。

チャットワーク効果検証01

 また、医師による入院患者への回診に約36.7時間/月要していたが、回診に必要な情報を事前にチャットで連絡することで、24年5月には約22.1時間/月と、約40%減少した。

 さらに、夜勤看護師から日勤看護師への交代時の申し送りを紙・口頭からチャットに変更したことにより、1回あたり平均16.4分かかっていた申し送り時間がゼロになった。日勤看護師から夜勤看護師への申し送りでも、大幅な短縮効果が出ている。

チャットワーク効果検証02

 従来、看護師は1カ所箇所のナースステーションに常駐し、必要に応じて病室の見回りやナースコールに対応していたが、看護師を複数の場所に点在させることで、より患者に近い場所で業務ができる体制に変更。チャットワークを活用し、離れた場所にいても情報連携のスピードや質を落とさずに対応するようにした。

 その結果、患者を直接見守る時間が増え、23年12月には抑制帯の使用率0%を達成。寝返りなどの体位変換を頻繁に実施できるようになり、23年7月に褥瘡発生率0%を実現した。これらは現在も0%を継続している

 さらに、患者からのナースコールでの呼び出しは、平均259回/日から平均150回/日へ約42%減少している。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

介護用を連想させないデザインの電動ベッド発売🆕

 フランスベッドグループの東京ベッド(東京都港区)は、医療福祉用ベッドを手がけるランダルコーポレーション(埼玉県朝霞市)と初めてコラボレーションした電動ベッド「A-Shape」を発売した。
 
 新製品は背上げ・脚上げ・昇降機能の3モーター仕様の家庭用電動ベッドで、介護用ベッドを連想させない生活空間に馴染むデザインが特徴。ランダルコーポレーションの特許技術である「八の字」形状のフレームで昇降時に揺れが少ない「八の字垂直型昇降機構」、背上げ時に腹部の圧迫を軽減する機能「ストレッチラインモーション」を採用している。

訪問スケジュール自動作成と記録ソフトが連携🆕

 ゼスト(東京都新宿区)とロジック(金沢市)は、それぞれが提供する訪問スケジュール自動作成クラウドと、訪問介護・看護事業者向け業務支援SaaS「Care-wing 介護の翼」のデータ連携を開始した。  ゼストはAIがスケジュール作成者に代わり、利用者と職員のマッチング条件、職員の勤務シフト、担当者の固定やチーム制、ローテーション、複数人による同行訪問などの条件を考慮した上で、最も効率的な移動ルートのスケジュールを提案する。  一方、Care-wing...

医療と介護の複合施設が東京・練馬区にオープン🆕

 東京都練馬区が所有する練馬光が丘病院跡施設を活用した、区内初の医療と介護の複合施設である「光が丘医療福祉プラザ」がオープンした。  医療分野では慈誠会「光が丘病院」と訪問診療を行う「ねりま在宅診療所」が入る。光が丘病院は157床で、うち区内初の緩和ケア病床が16床、光が丘地域初の地域包括ケア病床が50床、認知症治療病床が43床、医療療養病床が48床となっている。  介護分野は特別養護老人ホームの慈誠会「光が丘介護医療院」、「光が丘福祉専門学校」、看護小規模多機能型居宅介護事業所「光が丘ライフプラザ」で構成されている。...

NTTが上越市の介護事業所で56%の業務効率化を実証

 上越5e協議会と丸互(新潟県上越市)、NTT東日本は、2024年8月から25年3月まで上越市の複数の介護事業所で「tsuzumi」を活用した業務効率化を目的とする実証事業を行い、業務効率を56%向上させることに成功した。  tsuzumiはNTTが開発した、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル(LLM)。同グループでは、これを使った商用サービスを24年3月に開始した。...

遠隔リハビリ実現へ 上肢・肩甲骨運動データ公開

 NEDOが進める「人工知能活用による革新的リモート技術開発事業」で、産業技術総合研究所(産総研)と京都大学、東京大学、セイコーエプソン、エブリハは、遠隔でリハビリテーションができる社会の実現に向けて、上肢・肩甲骨運動に特化した世界初のオープンデータセットを公開した。  同事業では、リハビリ利用者がリハビリやトレーニングを継続する上で直面するさまざまな課題に着目し、各リハビリプロセスを遠隔で実現するリモート技術基盤のプロトタイプの開発を進めてきた。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月28日-5月4日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS