三菱電機と岡山大学、大阪大学大学院工学研究科は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援により、「磁気粒子イメージング装置」を世界で初めて開発した。
この装置を使い、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβに結合する磁気粒子を撮影することで、アミロイドβの蓄積量とその分布を測定。アルツハイマー病発症前の画像検査の実現を目指す。
磁気粒子イメージング装置はコイルが発する交流磁場により、体内に注入した磁気粒子の磁気信号を誘起し、これを検出することで、3次元画像を生成する装置。
交流磁場の周波数が高いほど磁気信号を高感度に検出できるため、すでに製品化されているマウスなどの小動物用の小型装置では、25kHz前後の高い周波数が使われている。
同等の周波数を使い、ヒトの脳サイズの領域を撮像可能な大きさに装置を大型化した場合、コイルが大きくなることで負荷が上がり、必要な電源容量が増大するため、電源装置が非常に大型になることが実用化を妨げる要因の1つとなっていた。
今回、三菱電機は交流磁場を発生するコイルと信号検出コイルの配置を精密に調整し、磁気信号の検出の障害となる不要な信号(ノイズ)を最小化できる構造を確立した。
これにより、1kHz以下の低周波でもヒトの脳サイズの領域の磁気粒子を高感度に撮影でき、電源装置の大型化を抑えた装置を開発することができた。この成果は、アルツハイマー病発症前の画像検査の実現に向け大きな前進になるという。