厚生労働省と文部科学省によるヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームは4月26日、第3回会合を開催し、当事者・支援者からヒアリングを行った。
ヤングケアラーのコミュニティ運営と啓蒙活動を中心に活動を行っているYancle communityの宮崎成悟代表は、16歳の頃から30歳を過ぎた現在まで難病で寝たきりの母親の介護をしている。
宮﨑代表はヤングケアラーについて、自分が介護をしているという認識がないことや悩みをうまく言語化できないこと、漠然とした悩みはあるが、特段つらいと感じていないことで、自分の置かれた状況の説明が難しいことを指摘した。
ヤングケラーに必要なのは、学校での発見と福祉へのアクセス、相談先を設置して心理的ケアを行うことを挙げた。また、家族へのケアは18歳以上になっても続くとして、相談先の設置と、当事者同士のつながりをつくること、企業の意識改革を行い、介護をしている人が取り残されない就労環境をつくることを求めた。
精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」の坂本拓代表も、複雑な思いを子どもが言語化することの困難さを指摘し、その結果、孤立へとつながってしまうのではないかとの見方を示した。
孤立を防ぐためには、子どもが感じているさまざまな感情を受け取る場や大人との出会い、家族をまるごと支援すること、病気を学ぶ機会が必要だとした。
聴覚障害のある弟と育った弁護士でインフォメーションギャップバスターの藤木和子理事は、親が1次的ケアラーである場合、きょうだいは2次的ケアラーというみえにくい立場にあることを指摘。支援策として、情報発信と啓発、適切な相談対応と支援、当事者団体との連携・支援を挙げた。
尼崎市教育委員会事務局学校教育部こども教育支援課の黒光さおりスクールソーシャルワーカー(SSW)は、複数の学校を担当し、1つの学校には週に1度しか勤務できないことから、虐待や重い不登校などへの対応で手いっぱいで、幼いきょうだいの世話をしているヤングケアラーの支援にあまり関われていない現状を紹介した。
支援をする上で、学校はヤングケアラーの存在に気付きやすく、一番近くで支援できる場所であることから、そこに福祉の視点を持つSSWが入ることにより、いちはやくヤングケアラーの気持ちやニーズに寄り添うことができるとした。