厚生労働省の「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会」は2月9日、リモートで会合を開催し=写真、貸付業務と経営支援業務、物資等供給業務に関する論点整理を行った。
貸付業務に関しては、まず金融機関や福祉医療機構(WAM)などからの資金調達の補完的位置付けであり、一時的な資金需要に対応するものであることから、制度施行から当面の間、慎重な検討を行い、抑制的に行われるべきとの視点が厚労省から示された。
その上で、貸し付けを行う前年度の活動増減差額が黒字であること、直近3年度の活動増減差額の平均額を上限とすること、貸付金利は高利でない適正な利率(無利子含む)、あらかじめ所轄庁に相談すること、などが貸付原資を提供する法人のルールとして挙げられた。
一方、貸し付けを受ける法人は貸付金使用後に連携推進法人に速やかに使用状況を報告すること、複数回貸し付けを受ける場合、前回の貸付金が完済されている必要があること、使途に関しては社会福祉事業の安定的な運営に必要な改修や職員の人件費などとするとした。
これらの論点のうち、「抑制的に行われるべき」という点について構成員から質問があり、貸し付けを行う法人が貸せる額は、自法人の安定運営を考慮して数百万円程度に抑えることなどから「まずは小さく始めていく」ということを考えている旨の説明が厚労省からなされた。
また、「貸し付けを行う前年度が黒字」「複数回貸し付けを受ける場合、前回の貸付金が完済されている」というのは、「少し厳しすぎるのではないか」との指摘が構成員からあった。これらに対しては、「まず施行に当たっては厳しく、施行後にニーズや状況があれば必要に応じて見直していく」との方針が厚労省から示された。
経営支援業務と物資などの供給業務
経営支援業務については、法人に対する経営ノウハウ、賃金テーブルの作成など人事・給与システムに関するコンサルティング、財務状況の分析・助言、会計に関する研修の実施などの支援、特定事務に関する事務処理の代行などが厚労省から例示された。
ただ、事務処理の代行に関しては、税理士法や社会保険労務士法などに違反しない範囲で行う必要があり、それらに抵触しない報酬などの請求事務のデータの作成代行や、会計帳簿の記帳代行などは可能であるとした。
物資などの供給業務としては、紙おむつやマスク、消毒液などの衛生用品、介護ベッドや車いす、リフトなどの介護機器、介護記録の電子化などICTを活用したシステムの一括調達、法人の施設で提供される給食の提供などがある。
このうち、給食に必要な設備については、特定の法人の施設の厨房を活用するほか、連携推進法人が必要な設備を持つことも認めることが提案された。