中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)第166回薬価専門部会は6月10日、医薬品業界からヒアリングを行い、業界団体は新型コロナウイルス感染症の影響で、中間年の薬価調査を実施できる状況にはないとの意見を述べた。
日本医薬品卸売業連合会の渡辺秀一会長はその理由として、「現下の状況は、薬価調査を実施するための、調査が適切に実施される環境整備が図られているとの前提と大きく異なっている」「感染症の第2波・第3波が発生した場合、薬価調査に対応できなくなりかねない」「薬価調査の結果に疑問があり、今後の流通改善に重大な悪影響を及ぼす」ことを挙げた。
日本製薬団体連合会の手代木功会長は、米国研究製薬工業協会・欧州製薬団体連合会との3団体一致の意見として、現在は新型コロナウイルス感染症に対する治験薬やワクチンの研究開発に優先的に取り組んでいることや、海外からの原薬などの調達に混乱が生じており、先行きを見通すのが難しいなどと説明した。
診療側委員はこれらの意見に賛同したが、支払側委員からは、「中医協の役割は実施する・しないではなく、こうした状況下でも適切な調査方法を議論することである」との意見が出された。一方、事務局はあくまで2016年の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の4大臣合意と「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針2019)に沿って、調査の準備を進めていく考えを示した。