来年度に予定されている薬価改定が見送られる可能性が出てきた。5月27日にオンラインで開催された中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)第165回薬価専門部会で、新型コロナウイルス感染症の影響により、薬価改定の基になる薬価調査の実施に懸念を示す意見が多数出たためだ。
来年度の薬価改定を行うには、遅くとも6月中旬から薬価調査の準備を始める必要がある。薬価調査は全ての医薬品卸から大手事業者を含め調査対象を抽出し、全品目の薬価調査を実施することになっている。
しかし、新型コロナ感染症の影響により、医薬品の価格交渉が進んでいないことや、医薬品流通が滞っていることなどから、診療側委員や医薬品メーカーなどの専門委員から薬価調査の実施は難しいとする意見が出された。
また、診療側委員からは新型コロナ感染症の影響などについて、関係団体から意見を聞き、その上で今後の対応を協議すべきとの提案があった。
一方、支払側委員からはどのような形であれば実施できるのかを検討すべきだとして、その観点からヒアリングを行う必要性が示された。