中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

2025年 10月 11日

 第126回社会保障審議会介護保険部会が10月9日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。

 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。

 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。

 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。

 その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。

 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。

 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。

 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

126回介護保険部会01

第126回介護保険部会「資料1」より抜粋(以下同)

 現行の特例介護サービスは図の青い部分、「基準該当サービス」「離島等相当サービス」だ。どちらもサービス類型は「居宅サービス」で、これを「地域密着型サービス」「施設サービス」に拡大するかが、今後の焦点となる。

 新たな類型を実施するには人員配置基準などの変更も必要となり、サービス・事業所間での連携を前提に、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件を緩和する。地域の実情に応じた包括的な評価の仕組みを実施可能とする(=論点③)。

 過去の部会では「特例的な対応は人材確保を重点的に行う、生産性向上など他の施策を講じたうえで、それでもなおサービス維持・確保のためやむを得ない場合に検討する」「管理職や専門職の要件緩和は、職員の負担増に配慮し、ICT危機の活用やサービス・職種間で必要な連携体制が確保されていることを前提とする」「市町村の適切な関与、配置職員の専門性への配慮を行う」などが指摘されている。

 今回も、委員からはサービスの質の担保や職員の負担増にどう配慮するか、といった課題が指摘された。

 ③は中山間・人口減少地域の訪問介護に限定して、現行の出来高報酬と月単位の定額報酬(=包括的な評価の仕組み)を選択可能にする、というもの。事務局は出来高報酬のメリット・デメリットをふまえ、定額報酬のポイントを示す(下図)。

126回介護保険部会02

 定額報酬については、利用者間に不公平感が生じる、利用者の費用負担が増える、限度額との関係から利用が制限される、その逆にモラルハザードが生じる(利用者が必要以上に利用する、事業者が必要なサービス提供を控える)、などデメリットが指摘される。

 これらの抑止のため、複数段階の報酬区分を設定する、定額報酬の対象範囲を限定するなどきめ細かな報酬体系とする方向で検討できないか、モラルハザードは、適切なケアマネジメントを担保することで抑制できるのではないか、との考えが示された。

 委員からは「ベースは定額とし、そこに出来高を組み合わせる形はどうか」「医療ではDPCによりコストが抑制され医療の質の均てん化も進み、一定の効果があった。介護は医療に比べサービス内容が多様で、提供機関も長期的・継続的だ。単純な定額化は質の低下や重度の利用者受け入れが抑制される懸念がある」との意見が出た。

 ④は、中山間・人口減少地域の市町村がサービス基盤を柔軟に維持・確保できるよう、介護保険財源を活用して、給付に代わる新たな介護サービス事業(新類型)を実施。その仕組みは、事業者にサービス提供を委託して、事業費(委託費)は利用者への個別給付ではなく事業の対価として支払う、というもの。サービス提供は複数サービスの組み合わせも可能、とする(下図)。

126回介護保険部会03

 ⑤介護事業者の連携強化は、中山間・人口減少地域で複数の介護事業所間の連携を促進し、事業継続や、他法人・事業所の間接業務を担うなどの生産性向上を推進する。連携において中心的な役割を果たす法人・事業所に対してインセンティブを付与する(下図)。

126回介護保険部会04

 委員からは「介護事業所の間接業務は請求や記録など複雑で、連携できる部分と難しい部分を整理する必要がある」「連携については実態調査が少ない。実態を把握してからインセンティブを検討すべき」といった意見が出された。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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