24年の介護事業者の倒産過去最多 半数が訪問介護

2025年 1月 10日

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産が過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したことがわかった。これまで最多だった2022年の143件を29件上回った。

 ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した訪問介護が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかったデイサービスも過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加している。

 介護事業者の倒産は16年に年間100件を超えた。コロナ禍で利用控えなどにより増加し、コロナ関連支援で21年は一時的に減少したが、支援縮小とともに再び増加に転じた。22年はデイサービスグループの連鎖倒産も重なり143件に達した。

2024年介護事業倒産件数

 原因別では最多が販売不振(売上不振)の125件(構成比72.6%)で、破産が162件(同94.1%)と利用者減少から破産を選択せざるを得ない苦境がうかがえる。

 また、個人企業他を含む資本金1000万円未満が149件(同86.6%)、従業員10人未満が143件(同83.1%)、負債1億円未満が134件(同77.9%)と、小・零細事業者の淘汰が目立つ。

 業種別では、訪問介護が過去最多の23年の67件を上回る81件(前年比20.8%増)、デイサービスなど通所・短期入所介護は、約30社の連鎖倒産が押し上げた22年(69件)に次ぐ56件(同36.5%増)、有料老人ホームは最多だった18年の14件を上回る18件(同350.0%増)と、主な3業種でいずれも高水準だった。

 物価高や人材確保が難しい事業者の倒産は25年も増加する可能性が高い。介護事業者の倒産は介護難民が生じる可能性もあり、地域に根ざした小・零細事業者と大手事業者の共存を見出す一方、効率化や協働化などの支援が急務になっていると同調査は指摘している。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会

 第124回社会保障審議会介護保険部会が9月8日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」などが議論された。
 
 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

人材確保に向け処遇改善を議論 給付費分科会

 第247回社会保障審議会介護給付費分科会が9月5日に開催され、「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査 (令和7年度調査)の調査票等について」「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」などが議論された。  「調査票等」は、「高齢者施設と医療機関の連携体制などの調査研究事業」「令和6年度介護報酬改定におけるLIFEの見直し項目及びLIFEを活用した質の高い介護の推進に資する調査研究事業」など4つの研究事業の調査票案を事務局が提示。...

日本の人口55万人減少 日本人減も外国人は増加

 総務省の人口動態調査によると、今年1月1日現在の日本の人口は1億2433万690人で、前年に比べ55万4485人(0.44%)減少した。  日本人が1億2065万3227人で同90万8574人(0.75%)減少したのに対し、外国人は367万7463人で同35万4089人(10.65%)増加した。減少する日本人の数を外国人の数が補う形となっている。  日本人は2009年をピークに16年連続で減少、外国人は13年の調査開始以降、最多となった。都道府県別では、日本人は東京都のみ増加した一方、外国人は全都道府県で増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(10月20-26日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS