2024報酬改定案を議論 給付費分科会

2023年 12月 18日

 12月18日、第236回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「審議報告のとりまとめに向けて②」を議論した。

 改定の柱は1.地域包括ケアシステムの深化・推進、2.自立支援・重度化防止に向けた対応、3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい環境づくり、4.制度の安定性・持続可能性の確保、5.その他、の5つ。

 前回(令和3=2021=年度)改定の柱は1.感染症や災害への対応力強化、2. 地域包括ケアシステムの推進、3. 自立支援・重度化防止の取組の推進、4.介護人材の確保・介護現場の革新、5. 制度の安定性・持続可能性の確保、であった。

 前回改定の1を除けば、柱はほぼ共通している。2024改定の「3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい環境づくり」は前回の「4.介護人材の確保・介護現場の革新」のアップデートであり、処遇改善加算の一本化などが盛り込まれた。

 それぞれの柱の中に掲げられた改定項目を前回と比較してみた。

◎地域包括ケアシステム
 項目数は6→8に増加。前回は「柱」だった「感染症や災害への対応力」がこちらに移動。新たに「高齢者虐待防止」「福祉用具貸与・特定用具販売の見直し」が加わった。

◎自立支援・重度化防止
 項目数は3→3と変わらず。前回の「寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進」は2024改定では「自立支援・重度化防止に係る取組の推進」となった。その中身は、通所介護・通所リハの入浴加算見直しなど。前回の「介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進」は「LIFEを活用した質の高い介護」となった。

◎働きやすい環境づくり(前回の「介護人材の確保・介護現場の革新」と比較)
 項目数は3→3と変わらず。2024改定が掲げるのは「介護職員の処遇改善」「生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり」「効率的なサービス提供の推進」で、前回より表現が簡素化されている。

◎制度の安定性・持続可能性の確保
 項目数は2→2と変わらず。中身も「評価の適正化・重点化」「報酬の整理・簡素化」と、前回とほぼ同じ。

◎その他
 項目数は4→4と変わらず。4項目すべて前回と2024改定では異なる。2024改定には「通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化」が盛り込まれ、利用者の居住実態のある場所を送迎先に含めること、他の介護事業所や障害福祉サービスの利用者の同乗を可能とすることが盛り込まれた。

 審議報告案にはこれら改定の内容とは別に、上記5つの柱ごとに「Ⅲ 今後の課題」がまとめられた。2024改定には入らなかったが、その次(2027年度)の改定に向けて引き続き議論されるテーマである。複合型サービス(訪問介護と通所介護の組合せ等)など、多岐にわたる内容が網羅されている。

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特例介護の新類型を提案 介護保険部会🆕

 第128回社会保障審議会介護保険部会が11月10日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」などが議論された。
 
 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会🆕

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

ケアマネ資格要件など議論 介護保険部会🆕

 第127回社会保障審議会介護保険部会が10月27日に開かれ、「介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」では、ケアマネジャーの資格取得要件や業務の在り方について事務局から提案された。
 
 資格要件については、参入促進のため「受験対象である国家資格の範囲拡充」を提案。具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師が挙げられる。これら5資格の業務などは以下の通り。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

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