中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月13日、アルツハイマー病による軽度認知症障害(MCI)と認知症の進行を抑制する新薬「レカネマブ」の薬価を承認した。
類似薬がないことから、原価計算方式により1回に投与される500mgで7万8926円と算定。これに認知症の進行を抑制する初めての薬剤として有用性加算が適用されたことで同11万4443円と算定された。
2週間に1度投与するため、1人当たりの年間費用は約298万円となる。患者の自己負担額は1~3割。高額療養費制度が適用される場合は、負担がさらに軽減される。
対象となる患者数は542万人と推計されている。しかし、レカネマブによる治療が行えるのは、MRI を備え、ARIA(アミロイド関連画像異常)の知識を持つ医師が責任者として配置されるなどの要件を満たした医療機関に限られることから、治療が受けられるのは最大で年間3万2000人程度と見込まれている。
レカネマブは製薬大手のエーザイと米製薬会社のバイオジェンが開発した。アルツハイマー型認知症の原因である脳内の異常なアミロイドβを除去することで認知症の進行を抑制する。
米国では今年7月に米国食品医薬品局(FDA)により承認され、日本でも9月に製造販売が認められていた。