第217回社会保障審議会介護給付費分科会は5月24日、令和6年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方や、検討すべき問題を議論した。
令和6年度(2024年度)は介護報酬・診療報酬・障害福祉サービス等報酬が改定されるトリプル改定年だ。事務局からは、医療・介護・福祉の分野横断的なテーマを念頭に議論してはどうか、と案が示され、了承された。以下はそのテーマ。
・地域包括ケアシステムの深化・推進
・自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進
・介護人材の確保と介護現場の生産性の向上
・制度の安定性・持続可能性の確保
分科会委員は、検討スケジュールはおおむね異論なく了承した。内容については、さまざまな意見が出された。
介護人材不足について言及した委員が多く、「他の業界で賃上げが進む結果、介護業界を離れて他業種で働く動きが加速している。介護業界は報酬が公定価格なので、事業所の努力だけでは賃金アップが困難。人材確保のためにも介護報酬を抑制してはならない」との意見もあった。
トリプル改定(医療・介護の報酬の同時改定)ならではの議論を望む声も出された。
具体的なテーマとして、医療と介護の連携について、介護現場での医療提供体制、同じ資格をもつ介護職の処遇が働く場所によってどう異なるか実態を精査すべき(たとえば急性期病院と介護施設では介護福祉士の給与はどう異なるか)、などが指摘された。
負担と給付については、現役世代の保険料負担は限界で、負担増に耐えられないとの意見が出された。
介護現場の生産性向上という言葉をめぐって、介護現場には違和感というより拒絶反応があると指摘した委員は、生産性向上ではなく業務改善と言い換えるべきと述べた。