第214回社会保障審議会介護給付費分科会は2月20日、①標準様式例及び「電子申請・届出システム」の使用の基本原則化 に係る諮問について、②令和4(2022)年度介護事業経営概況調査の結果について、③令和5年度介護事業経営実態調査の実施について、④介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会に おけるこれまでの議論の整理について(報告)、議論した。
介護事業経営概況調査は各サービス施設・事業所の経営状況を把握し、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の 改定に必要な基礎資料を得るため、報酬改定から2年目の5月に実施される。
今回は2022年5月に行われ、20年度・21年度決算を調査した。全国の1万6830施設・事業所を対象とし、有効回答数は8123施設・事業所(有効回答率48.3%)であった。
今回の調査対象となった決算期は新型コロナ感染症の流行と重なる。したがって、収支差率などはコロナ補助金を含む場合と含まない場合の両方が示された。
収支差率を介護サービス別にみると、21年度決算は対前年比でほとんどマイナスとなった。例外は福祉用具貸与と居宅介護支援で、どちらもプラスであった(夜間対応型訪問介護もプラスだが、施設・事業所数が少なく、参考数値)。
全サービス平均の収支差率は、2020年度3.9%、21年度3.0%と0.9%低下。主な要因は20年度から21年度にかけて多くのサービスで収入が増加する一方、事業費用がそれを上回ったことである。
介護事業経営概況調査に加え、介護事業経営実態調査が報酬改定の3年後に行われる。2020年度の「実態調査」から19年度決算の収支差率をみると、訪問介護では2.6%であったのに対し、22年度「概況調査」にみる20年度決算の収支差率は6.9%に増加した。
このように21年度に収支差率が低下傾向を示した多くのサービスでは、19年度から20年度にかけては収支差率が上昇している。したがって、前回調査(19年度決算)からの変化も重要だ。
今回の「概況調査」では、新型コロナの経営への影響を把握するため、陽性者発生状況や施設運営への影響を尋ねている。利用者・職員に「陽性者が発生」「濃厚接触者が発生」「感染・濃厚接触の疑いがある者が発生」のうち、いずれか1つでも該当ありと回答した施設・事業所と該当なしを比較すると、該当なしの方が収支差率が高いサービスもあるが、すべてがそうではなかった。
該当ありのサービスでは、事業所の規模が大きければ陽性者が出る可能性は高くなる一方、収支差率はもともと高い傾向にある。そういった状況が影響しているとみられる。
施設・事業所運営への影響別の収支差率も調査している。「行政からの要請によるサービスの一時休止」「施設・事業所の判断によるサービスの一時休止」「施設・事業所の判断による運営の縮小」「利用者・家族の希望によるサービスの休止・縮小」「新型コロナウイルス感染症の影響でサービス利用者が減少」「近隣事業所等からの利用者の受け入れ」のうちいずれか1つでも回答した施設・事業所の状況である。
一時休止や規模縮小などがあった事業所となかった事業所の収支化率を比較すると、該当なしのほうが収支化率が高いものもあるが、必ずしもそうでない事業所もあった。