中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月1日、厚労省が提示した医療機器の「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」の保険適用の保留を承認した。
同機器は早期の乳がん患者の腫瘍組織から抽出した遺伝子のRNA 発現の定量値に基づき、再発スコアを算出するもの。術後の化学療法の要否についての客観的な指標が得られることで、過剰治療・過小治療のリスクを低減するとされている。
11月10日の中医協で保険適用が承認され、12月1日から保険適用されることになっていた。
厚労省の説明によると、11月30日に製造販売業者のエグザクトサイエンスから、プログラムのソフトウェア上の必要な機能が揃っておらず、同日時点でもプログラムの開発が完了していないため、12月1日に供給を開始できないとの申し出があった。
支払側・診療側委員ともに保険適用の保留を了承したものの「製品として開発が完成していなかったものを承認したのか」(松本真人・健康保険組合連合会理事)「11月10日に保険適用されて、今日になって間に合っていないというのはどういうことなのか」(佐保昌一・日本労働組合総連合会総合政策推進局長)などの疑問が呈された。
事務局からは承認に関して「プログラムのアルゴリズムの結果と臨床的な妥当性について薬事の中で審査し、評価された。企業はそれを前提にプログラムの開発を進めていたが、間に合わなかった」と説明した。
これに対し、長島公之・日本医師会常任理事は「論外ではないか。そのようなものがこのような形で扱われたことに大きな問題がある。根本的に仕組みとしてどうあるべきか、というところまできちんと議論すべき」と指摘した。