1998年度(平成10年度)は、介護認定モデル事業(高齢者介護サービス体制整備支援事業)以外にも重要な準備作業が次々と行われる。同年度前半には、保険者向けの「介護保険事務処理システム」(保険者システム)開発が始まった。
■多摩地域の保険者が共同開発
モデル事業で問題点を指摘した一次判定ソフトは、厚生省が開発して各保険者、すなわち全国の市町村に提供されたわけですが、保険者の業務はもちろん要介護認定だけではありません。
保険料の賦課徴収やサービス受給の資格管理といった、地味だけど「社会保険」ならではの重要な業務があり、そのためのシステムは保険者が各自導入する必要がありました。
保険者システムについて、武蔵野市は導入にあたり、98年(平成10年)4~5月、3つの方法を検討しました。①市が単独で開発する、②全国共通パッケージソフトを購入する、③A社のシステムを既存システム(国保など)に採用している東京・多摩地域の保険者が合同で共同開発する、の3つです。
①の単独開発には、市のカスタマイズが容易なメリットがありますが、開発にはコストも時間もかかります。②全国共通パッケージソフトは導入は容易ですが、このシステムに自治体の事務作業を合わせなければならず、武蔵野市の独自性が発揮できません。
けっこう大きなデメリットがあると考えられた①②と比べ、③多摩地域のA社ユーザーによる共同開発であれば、多摩地域共通の事務処理が可能となります。保険料の仮算定など市独自のオプションもつけられるし…