■特養の嘱託医の役割は
その1つが、特養入所者への医療提供である。特養の人員基準は、介護または看護職員については「入所者3に対して1以上」で、医師については「必要な数」となっている。したがって、常勤の医療職は看護師だけで、医師は非常勤の嘱託医、という特養が少なくない。とりわけ、社会福祉法人が運営する特養はこの傾向が強い。聞いた話だが、社福系のある特養でコロナの集団感染が起こった。所属する看護師が1人で何十人もの検体を採取し、やがてこの看護師も感染して隔離を余儀なくされ、医療職不在の事態となってしまったという。この話が事実なら、この特養の嘱託医は何をしていたのだろうか。
かつて特養入所者への医療提供は……