筆者は2020年から東京都練馬区在宅療養推進協議会の会長を務めている。練馬区では、2011年から区民の「看取り死」(死亡診断書が発行された死亡=後述)の状況を分析している。「練馬区死亡小票分析」と呼んでいるが、厚生労働省が実施する人口動態調査の死亡票を区独自に集計・分析したものである。
この2020年の結果について、社会保険旬報のコラム「霞が関と現場の間で」(2022年4月1日号)で「東京都練馬区における『看取り死』の状況」と題し取り上げたことがある。
2020年は新型コロナウイルス感染症の蔓延に見舞われた年であり、これが練馬区における「看取り死」にどのような影響を与えたか、注目に値すると考えたからである。
2023年3月、2021年中に死亡した練馬区民を対象とした2022年度の死亡小票分析が公表されたので、その結果を紹介したい。
その前に、なぜこの死亡小票分析に注目するのかについて説明したい。この死亡小票とは、厚生労働省が実施する人口動態調査の死亡票を練馬区が独自に集計・分析したものであるが、このような取り組みをしているのは、東京都23区では練馬区のみであり…