中2の5.7%がヤングケアラー 厚労省調査

2021年 4月 13日

 厚生労働省による全国の中学・高校生を対象に実施したヤングケアラーに関する調査で、公立中学2年生の5.7%、全日制高校2年生の4.1%が家族の世話をしていることが分かった。家族の世話をしている生徒は、していない生徒に比べ、健康状態が良くなく、学校生活に支障が生じていることも明らかになった。

 今回が初となる調査は、全国の中学・全日制高校の2年生、定時制高校2年生相当、通信制高校性を対象に、昨年12月から今年2月にかけて行い、中学生5558人、全日制高校生7407人、定時制高校生366人、通信制高校生446人、合計1万3777人から回答があった。

 家族の世話をしている定時制高校生は8.5%で、全日制高校生に比べ、やや高い傾向がみられた。

 通信制高校生は学年を問わず調査を実施したため、一概に比較することは難しいが、「世話をしている家族がいる」と回答した人が11.0%いた。通信制高校への入学理由や全日制高校をやめた理由として「家族の世話や介護」を挙げた人もおり、家族の世話が進路に影響を与えたことが推察された。

 世話に費やす時間については、中学生は平日1日当たり平均4.0時間、全日制高校生は同3.8時間であった。世話に費やす時間が3時間未満の場合は、健康状態について「よくない・あまりよくない」の割合が 7.6%であるのに対し、7時間以上の場合は、「よくない・あまりよくない」の割合が 26%と、長時間のケアが健康状態の悪化をまねく可能性が示された。

 また、家族の世話をしている場合、欠席・遅刻・早退が多いことに加え、忘れ物や宿題ができないなどの割合も高くなっていることから、こうした学校生活などでの状況により、ヤングケアラーである可能性が示されるも分かった。

 ヤングケアラーの認知度は少しずつ高まっているとはいえ、各市区町村の要保護児童対策地域協議会や学校、家族の世話をしている子ども自身も、正しい理解が進んでいるとは言えないのが現状だ。

 兆候が見られる子どもを、学校を中心に早期に発見して関係機関につなぎ、その上で学校や関係機関などが連携し、子どもが子供らしい生活を送れるよう支援策を検討していくことが求められている。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

今年上半期の介護事業者の倒産件数が過去最多に

 東京商工リサーチの調査によると、今年上半期(1-6月)の介護事業者の倒産件数は81件(前年同期比50.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、最多件数を更新した。これまでの最多はコロナ禍の2020年の58件だった。
 
 業種別では、訪問介護が40件(同42.8%増)で最も多く、デイサービスなどの通所・短期入所が25件(同38.8%増)、有料老人ホームが9件(同125.0%増)で、主要3業種そろって上半期での最多を更新した。
 
 倒産の理由としては、売上不振が64件(構成比79.0%)と約8割を占めた。利用者の獲得が進まず…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(10月7-13日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS